24話 ページ25
船が出発して数分。
赤犬はちらりとご機嫌に海を眺める少女を見た。
優しい対応をしてやったつもりはない。しかし、この少女、妙に懐いている。
それが不思議でならなかった。
実際のところ、Aは大体の人と3秒あれば友達になる。
人を愛し、愛されるナニかを持っていた。
「ねぇ、Aお腹空いちゃった。なんか食べたいな」
「「もちろんいいよ〜〜！」」
Aは既に船に乗る海兵全員を虜にしていた。
「あ、大将赤犬。もっと西にして」
Aは片手にケーキが乗った皿、片手にビブルカードを持って赤犬に声をかけた。
赤犬はくっと眉をひそめる。
「どこに向かっちょる？」
「船だよ、私の。おっきい船だから、見たらわかるはず」
赤犬はそういえば向かう船はどんな船なのか何一つ聞いていなかったことに気づいた。
そこで勝手に隣に座りケーキを食べだしたAに声をかける。
「どうして船で暮らしちょる」
「ん？ん〜〜……誘われたから、かなぁ。まあ流れで乗船して、楽しくてずっと乗ってる感じ」
「誘われたって誰に」
「オヤジ！大好きなの！」
にぱっと笑うA。
その笑顔に赤犬は身体の力がなぜか抜けていくのを感じた。
この時、既に赤犬は落ちかけていた。
しかし、どうしてこんな少女が船乗りに誘われる…？
頭の中にはふと海賊の二文字が浮かぶが、海賊の少女が一人で海軍本部に保護され、呑気に大将の横でケーキを食べるはずがないと頭を振る。
「船で何をするのじゃ？」
「Aはねえ、ご飯食べて釣りしてお昼寝して、……あれ、なんもしてない」
Aは小さくこれからはもっと働こうとつぶやいた。
そして、食べ終えた皿を控えていた海兵に渡すと赤犬に向き直った。
「次は私ね。大将赤犬は普段何してるの？」
「海賊を捕まえるのが仕事じゃ」
「それ楽しい？」
「いや、……そういうもんじゃないけェ」
「へ〜」
赤犬は困惑していた。
Aは割と頭のネジが飛んでいるので、海軍大将に向かって海賊を捕まえるのが楽しいかと聞く。
そんなことを聞かれたこともない赤犬にはどう答えたらいいかわからなかった。
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ピーちゃん - とても面白くて愛らしかったし (2022年10月28日 20時) (
レス) @page42 id: e9f23f5dc7 (このIDを非表示/違反報告)
なつみ - ３４５回も会議やっての笑った!!!めちゃ面白い!!!これからも頑張ってください!!! (2022年10月13日 12時) (レス) @page37 id: 407d8a27ca (このIDを非表示/違反報告)
センカ(プロフ) - tottemo_ringoさん» ありがとうございます！！夢主ちゃんはわがまま末っ子気質なもので困りますね笑好きになっていただけてとても嬉しいです…！優しいお言葉とても力になります！ (2022年8月22日 0時) (レス) id: cff8d00b59 (このIDを非表示/違反報告)
tottemo_ringo(プロフ) - 今日初めて読みました。最初は主ちゃんに対して、なんやこの子！めっちゃわがままやんけ！といい印象ばかりではなかったものの、期待し読んでいくうちに完全にオチました。主ちゃんの性格と、周りの関係や反応がとても好きです。無理せず、更新お願いしたいです！！ (2022年8月9日 3時) (レス) @page37 id: 4137b5ba4e (このIDを非表示/違反報告)
センカ(プロフ) - みなさま大変お久しぶりです。長い間こちらの作品を放置しておりましたが、最近になってちょっとだけ書きたくなって戻ってきました。今後続けて連載していくかは未定です。書きたくなった時だけ書きます。あまり期待せずに暇つぶし程度に見てくださると嬉しいです。 (2022年8月6日 20時) (レス) @page36 id: cff8d00b59 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：センカ | 作成日時：2019年8月18日 18時
