17話 ページ18
彼女との婚約が決まってから１年
双方の両親から逢引してこいとのことだったので
少し遠くの町にでて、劇を見に行った
劇の内容は鉄扇をもった強い女の人が悪を懲らしめる話だった
鉄扇をもった役者さんの動きは俊敏で美しく見とれてしまうほどだった
その物語の女の人に憧れたようで、日向は劇が終わったら鉄扇を買いに行くといった
『鉄扇なんてどこに売ってるんですかね？』
日「まだ時間はたっぷりあります、フラフラとしていれば見つかるのでは？」
日向は楽しそうだった
そんな彼女を見ていられるのがとても嬉しかった
日「鉄扇なかったですね」
結局一日探したが鉄扇は見つからなかった
『また来て探してみましょう』
日「一つお願いしたいのですか…」
彼女はもじもじとしながら俺に提案する
日「敬語を外しませんか？」
日「日向さんではなく日向と呼んでほしいです」
顔を赤くして話す姿はともかわいらしかった
でもそんなことを口から出せるほど俺は冷静ではなく
俺自身も顔が赤くなっていた
『そう、だね、じゃあ日向って呼ぶよ』
『じゃあ日向も敬語外してよ、俺も武道って呼ばれたい』
日「じゃあ武道君って呼ぶね」
俺らからしたら凄く大きな一歩だったんじゃないか
少しするとあたりが暗くなり街灯がつき始める
『そろそろ帰りましょうか』
停留所からバスに乗って数分
家の近くに止まった
日「帰ってきたら武道君の家で待ってるって言ってたよ」
『じゃあ、一緒に帰ろう』
俺らは手を繋いで帰った
俺の家に着いたが余りにも静かすぎる
『ただいま、父さん？母さん？』
俺が呼んでも返事がない
それは日向がやっても同じことだった
『奥にいるのかな』
奥の部屋まで歩いていくと部屋の中からドンと物音がした
日「よかった、どこに行ったのかと思った」
『とりあえず入ろうか』
襖を開けると嗅ぎなれない臭いがした
血の匂いだ
飛び散って畳の間に染みこむ血
その血溜まりの中心に倒れている俺らの両親
そして誰のものかわからない腕にかぶりつく異形の何か
日向がそれを見て叫ぶ
俺はとりあえず逃げないと思い
日向の腕を引いて走った
あれはなんだ、なんで俺らの両親が倒れている
そんなことよりもアレは危険だと本能がいっていた
日「父様、母様…」
日向は走りながらも泣き続けている
俺も両親の早すぎる死をまだ受け入れることができなかった
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睡音 - 続編に入ってからもよろしくお願いします！！ (2022年4月6日 15時) (
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睡音 - 次こそちゃんと本編に入れます！！ (2022年4月6日 15時) (レス) id: 951873bf54 (このIDを非表示/違反報告)
睡音 - こんなに長くなる予定はなかったんですけどね〜 (2022年4月6日 15時) (レス) id: 951873bf54 (このIDを非表示/違反報告)
睡音 - 過去編が長くなってしまいすみません！！ (2022年4月6日 15時) (レス) id: 951873bf54 (このIDを非表示/違反報告)
睡音 - 関東事変と武道過去編が終わりました！！ (2022年4月6日 15時) (レス) id: 951873bf54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：睡音 | 作成日時：2022年3月12日 22時
