ぴしゃ ページ5
男の子は部活終わりなのか、部活着を着ていた。
たぶんズボンの長さ的にバレー部だろう。
...いま、私の名前呼んだ？
なんで知ってるの？
『えっ...と”白布賢二郎”くん？』
この前ぶつかったときにたまたま見えた教科書に書いてあった名前を言うと、彼は一瞬目を丸くしてから頷いた。
一体なんの用だろう。
なんとなく不安になって心拍数が嫌に上がる。
『なにか、ありました？』
「これAさんのですよね」
そう言って白布くんは私に歩み寄ってネックレスを差し出した。
そのネックレスは紛れもなく、太一からもらったものだった。
私は反射的にそれを受け取る。
『え！嘘！白布くんが持ってたの？ありがとう！これめちゃくちゃ大切なものだった！！』
私は自然に笑顔になって白布くんに笑いかけると彼も少しだけ口角を上げてくれる。
ぎゅっと強くネックレスを握った。
もう絶対なくしたりしない。
『あ...それよりなんで白布くんこれが私のものだって分かっていたの？』
不思議に思って聞いてみると白布くんは「あぁ」と言って口を開いた。
「俺、太一がこれ買いに行くときに一緒に行ったから」
『...まじっすか』
...うん。
男の子1人でアクセサリー見に行くのってハードル高すぎるもんね。
2人で一緒に薄暗い廊下を歩き出す。
何だか妙な気分だ。
次に学校に行くときは卒業するのにほぼ初対面の男の子と一緒に廊下を歩いている。
「太一と喧嘩したんですか」
『喧嘩...っていうか、』
なんて言ったらいいのか分からない。
私が言葉を探しているのをみて白布くんは続けた。
「ネックレス、プレゼントに渡す意味って知ってますか」
『え...知らない』
急に会話が180度変わったことに驚きつつなんとか返事をする。
というかプレゼントに意味があるなんて知らなかった。
白布くんはゆっくりと口を開いた。
「渡す相手の無事とか幸せを願う意味が込められてるらしいですよ」
『...幸せ』
思わずぽろりとその言葉が零れた。
「お守り的な」
...分からない。
私、太一が分からない。
抑えようとしても止まらなかった。
ぽろりと1粒涙が零れてしまえばそれはどんどん溢れてきた。
太一はネックレスを渡す意味を考えて私にくれたの？
あの事件のことを知った上でくれたの？
...私に、幸せになってほしかったの？
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兎月うさぎ(プロフ) - みづさん» え〜！まじですか！めちゃくちゃ嬉しいです！その言葉だけでもう今日はいい日になりました笑 本当にありがとうございます！ (2021年4月3日 6時) (
レス) id: e0685c5060 (このIDを非表示/違反報告)
みづ(プロフ) - 私完全に兎月うさぎさんにハマってしまった…おもちゃ と 嘘と魔法が勘違い も何回も読み直してます！これからも応援してます！ (2021年4月2日 18時) (レス) id: 96731072cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：兎月うさぎ | 作成日時：2021年3月31日 10時
