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京治くんの小さい子どもをなだめるような優しい声に耳を傾ける。





京治くんは私の涙を優しく拭って口を開いた。





京「俺はAのあの笑顔に惚れたわけじゃないよ。」




彼は続ける。



京「こんなこと言ったら俺が歪んでるみたいなんだけど...いつも笑ってるAが、俺のせいで泣いたこと。すごく嬉しかったんだ。」




『でも、』




京「あれは嘘泣きだった?」




京治くんは私の言葉を遮った。




...ちがう。



あれは嘘泣きじゃない。



今思えば少し大袈裟だった気もするけどあの涙は確かに本物だった。




...本物の、私だったんだ。




京「教えて。嘘じゃないAは俺にどうしてほしい?」






京治くんは意地悪だ。




そう聞かれて私がなんて言うのか...もう彼はきっと分かっている。





私は震える指でブランコの金具を掴む京治くんの手にそっと触れた。




大きくて綺麗な手





だいすきな京治くん手






『...ずっと...傍にいてほしい...。』





涙が溢れた。





そうなんだ。




たった一言




言えるだけで十分だったんだ。





変に誤魔化さなくても。




ただ、一言「最低だけど嘘つきだけど傍にいて」って。





突然、京治くんは強い力で私の手を引いた。





完全に無抵抗だった私は簡単に京治くんの腕の中に収まる。





懐かしい彼の優しい匂い





それにもっと涙が溢れた。





京「うん。ずっと傍にいるよ。」





近くの小学校から授業終了のチャイムが聞こえる。





好きだ。





世界でいちばん





偽っていた私ではなく、本物の私をみてくれていた京治くんが。





私にないものばかりをもっている京治くんが。




『...だいすき、』




京「それ、ずるいから。」




『だいすき』



京「...知ってる」



だいすき、って言ったら知ってる、って言ってくれる。



「俺も」なんて言わないところが京治くんらしいな、なんて思ったり。




言い足りない。




だいすきなんて、言葉じゃ足りない。





でもその言葉しか的確な言葉が見つからない。




私のついていた嘘


そして京治くんがかけてくれた魔法


そして私の勘違い




お日様が私たちをあたためてくれる。




だいすきな京治くんの体温と優しい匂い



...ねぇお日様みたいな外用の”私”。



こうして素直になれたのは”私”のおかげだよ。



嫌いだけど、ありがとう。

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設定タグ:ハイキュー!! , 赤葦京治   
作品ジャンル:恋愛
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兎月うさぎ(プロフ) - みづさん» 嬉しいお言葉、本当にありがとうございます!届いてくれて感謝しかないです。自分の性格って色々難しいですよね笑 でもこの小説がみづさんのお役に立てたなら心の底から書いてよかった、と思いました!ありがとうございます! (2021年3月4日 15時) (レス) id: e0685c5060 (このIDを非表示/違反報告)
みづ(プロフ) - こんなにも心が動かされた小説は初めてです!私情になるんですが私も今自分の性格のことで悩んでいて…夢主ちゃんと照らし合わせて感情移入しちゃいました笑この小説のお陰で気持ちが大分楽になることが出来ました! (2021年3月3日 21時) (レス) id: 96731072cf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:兎月うさぎ | 作成日時:2021年2月26日 17時

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