・ ページ9
俺の言葉にAさんは小さくそっか、とだけ言った。
でもすぐに俺を真っ直ぐに見て、楽しそうに彼女は声を上げて笑った。
『めっちゃ焦ったもん!昨日家帰ったらなくって落としたまんまだったらどうしよう!って思って。ねぇどうだった?』
まじで拾ってくれてありがとね!、と言って俺の背中をばしばしと叩いた。
痛い。
どうだった、って言われても。
京「...Aさんは死ぬの?」
俺の言葉に一瞬、きょとんとだけでしてから彼女はんー、と考え込むように上を向いた。
『...うん。もうすぐ。』
京「.......そっか。」
なんとか絞り出した声は微かに上ずってしまったがAさんは気にしていない。
『え!そっかって!止めてくんないの!?』
京「...止めてほしいの?」
Aさんは止めてほしいなんて絶対思ってないだろう。
おちゃらけたように言う彼女は俺の言葉にへらりと笑った。
『確かに、止めてほしくはないかも。...ねぇ赤葦くん。』
にぃ、と彼女は少しイタズラっぽく笑って桃色の封筒を太陽に照らした。
『これ読んだので、赤葦くんは有罪です。』
京「...うん。」
そこは否定できない。
夏の香りがする風が吹いて彼女のスカートを揺らす。
そこで彼女は再び、爆弾を投げ込んできた。
『だったら死ぬまで私に付き合って。』
京「...え?」
57人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:兎月うさぎ | 作成日時:2021年2月19日 22時