嘘と魔法が勘違い【赤葦京治】 (ページ41)

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2人きりの部屋に秒針の音

クーラーの音

心臓の音

全てが聞こえるくらいに静かだった。

ゆっくり体を離すと少しだけ火照ったAの表情

目は泣いていたから少し腫れている。

Aがさっきしてくれたみたいに彼女の目じりの涙を拭うとAはいつもみたいに照れくさそうに笑わなかった。

代わりに本当に恥ずかしそうに俺から目を逸らした。

いつもは見られないその表情に俺の心臓が大きくはねる。

そっとAの頬を撫でると少しだけAはびくりと体を震わせた。

生ぬるい空気の部屋

微妙に暗いあかり

ベッドの上

火照ったAの顔

お風呂上がりのAの甘い匂い

すべてが俺の理性を刺激するには十分すぎた。

Aのあまい吐息がかかる。

...抱きしめるだけじゃ足りない。

もっとAがほしい。

いずれ消えてなくなってしまうそのすべてがほしい。

そっと俺がAに近づくとAはそれを受け入れるように瞳を閉じた。

...好きだ。

好きなんて言葉じゃ、足りないから。

俺の持ち合わせている語彙力じゃ俺の感情を言葉にできないからせめて行動で言いたい。

きちんとAのキス待ち顔を目に焼き付けてから、優しく、そっと柔らかい唇にキスをおとした。