嘘と魔法が勘違い【赤葦京治】 (ページ36)

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Aは手続きを素早く済ませて、子どものように「部屋の鍵開けるのは私ね。」なんて言って鍵を開けた。

割と高級ホテル感のあるこのホテルで、部屋を2つとることが出来なかったことに納得がいく。

それに彼女のお金なのだ。

今さらその事を思い出して少々罪悪感が生まれたが、気にしなくてもいいと言ってくれたのですぐに追い払う。

『わー！やっば！！みてみてみて！京治くん！夜景めっちゃくちゃ綺麗！』

そう言ってどたどたとAは窓の方へ走っていく。

俺もそれにつづいた。

京「！ほんとだ。綺麗だね。」

『私が？』

京「...夜景が」

『あははっ！そこは冗談でも私って言っとけよー。』

そう言って彼女はばしばしと軽く俺の背中をたたいた。

手加減をしてくれているのだろうけとやっぱりちょっと痛いのはAには黙っておこう。

俺はゆっくり息を吐いて部屋を見渡す。

トイレとお風呂は別々(さっきちらっと見えた)

それに部屋は広く、テレビと大きなソファとテーブル

それに大きめのベッドが2つ

2人で同じ部屋でも問題なさそうだ。

Aは夜景から離れて窓の近くのベッドに飛び込んだ。

どうやら先に自分の寝床を決めたようだった。

俺がカバンからペットボトルのお茶を取り出して飲んでいるとAが枕に埋めていた顔を上げて俺をみていきなり爆弾を投げてきた。

『ねぇ一緒にお風呂入る？』

京「げほっ、ごほっ、」

俺が分かりやすくむせてしまうとAは楽しそうに笑った。

京「...そのお願いはAが死ぬまでにしたいことでも聞けないから。」

『分かってますー。...あ！私、お風呂1番に入る！』

そう言って勢いよく起き上がり、お風呂の準備をし始めたA。

...さっきから少しは落ち着けばいいのに。

Aがあまりにもはしゃぐから、逆に冷静になる半分、俺もだんだん楽しくなってきた。

そうだ。

楽しまなくてはきっと損だ。

これは恥ずかしがったら負けのゲームなのだから。