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りんねちゃんの右手にA、左手に俺
という感じて2人でりんねちゃんを挟んで歩く。
基本会話をしているのはAとりんねちゃんで、りんねちゃんの話を楽しそうにAは聞いていた。
屋台の賑やかな雰囲気
そしてすれ違うきらきらとした景色と通りすがる人の笑顔
りんねちゃんも、この花火大会の会場にいる誰も夢にも思わないんだろうな。
今、ここにいる誰よりも幸せそうに笑っている(あくまで俺がそう見えてるだけだけど)彼女が死のうとしているなんて。
「ねぇねぇ。Aちゃんとけーじくんはつきあってるの?」
『ん!?』
京「.....」
いきなり、りんねちゃんが俺の方をみたと思ったらきらきらとした顔で爆弾を投げてきた。
京「付き合ってないよ。」
『そんな即答しなくてもよくない?』
それ以外になんて言えばいいっていうんだろう。
「でも、なかよしでしょ?」
りんねちゃんはなぜか俺の方をみてにぃと笑う。
...こどもって怖いな...。
『仲良し...仲良し...京治くん、私たち仲良し?』
俺に聞くな、と思ったけど聞かれたからには返す。
京「悪くはないんじゃない?」
Aは「そこはいいって言っとけよ」と言ったあとに柔らかく笑ってりんねちゃんの方をみた。
『仲良しとか仲悪いとかそうじゃないの。』
「んー?どーゆーいみ?」
俺も思わずAをみる。
なんとなく、知りたくて聞けなかったこと。
Aが俺をどう思っているのか。
どくんどくん、と心臓が早くなるのを感じた。
『...トクベツ、かなぁ』
.....トクベツ
抽象的っちゃ抽象的
でも俺を満足させるには充分すぎる、一言だった。
そのときのAの顔がいつもと違った。
たまに、みせるあの儚い感じ
いつも笑ってるAだから、そう思ってしまうのかもしれないけど俺はAの笑顔よりもなによりもその表情が好きだ。
割と、歪んでるけど...。
「へぇ!いいねっ!トクベツ!」
ぴょんぴょんとりんねちゃんは楽しそうに跳ねて笑った。
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作者名:兎月うさぎ | 作成日時:2021年2月19日 22時