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2人とも食べ終わると、Aは「私が誘ったから奢るね。」と言って俺に断る隙も与えずに伝票を持ってレジに向かった。
まさか奢られるとなんて思ってもいなかった俺は呆気にとられて席から立ち上がることに出遅れてしまう。
Aの元へ行ったときには既にお会計は終了していて、レシートを財布にしまっている最中だった。
2人で店を出たとき俺はすぐに彼女に言った。
京「奢ってもらうのは悪いから自分の分は俺払うよ。」
『全然いーよ。私がしたくてしたことだもん。』
そう言ってAは「ね?」とでも言うように俺の目を見た。
これ以上、色々言うのも逆に悪いよな...。
京「...じゃあ、ごちそうさま。ありがとう。」
『どーいたしまして!これからどうする?』
京「え」
まさかの彼女のノープランに俺は再び呆気にとられる。
『まだまだやりたいこといっぱいあるんだけど今日一気にやっちゃったらつまんないから...あ、じゃあ適当にぶらぶらしよーよ。』
そう言ってAは俺より先に歩き出した。
俺も彼女に合わせて歩き出す。
...なんだろう、この感じ。
”恋愛”という名前ではないとは思う。
一応俺でも好きな人がいたことはあったから。
今はその人の顔も名前も思い出せないけど。
でもなんかそれとは違う、この感じ。
胸の奥が温まっていっぱいになって溢れ出てくる。
俺は...。
『ねぇ、京治くんのこともっといっぱい教えて。知りたい。』
そう言って楽しげに笑った彼女
こんな神様か誰かのいたずらやめてほしい。
俺は軽く息をついて微笑んだ。
京「.....俺も、いま同じこと思ってた。」
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作者名:兎月うさぎ | 作成日時:2021年2月19日 22時