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遡ること約2分前
俺は部室にむかって歩いていた。
今日の晩ご飯はなんだろう、なんて呑気なことを考えながら曲がり角を曲がったとき勢いよく走ってきた誰かとぶつかった。
『わっ!ごめんなさい!』
そう言って謝った俺にぶつかった反動で尻もちをついてカバンの中身を放出させた相手は4組のAAだった。
...随分派手にカバンの中身ぶちまけたな...。
京「すいません。大丈夫ですか?」
そう言いながら俺は彼女のカバンの中身をしまうのを手伝った。
『いや!私が走ってたのが悪いんで!』
ペンケースに教科書、ノートにポーチにスマホにウォークマン。
2人で彼女のカバンの中身を片付けると派手にぶちまけて片付けが大変そうに思えたものもすぐに終わった。
『ほんとにすいません!ありがとうございました!』
立ち上がって、スカートのホコリをはらいながらAさんは照れくさそうに俺に笑いかけた。
京「どういたしまして。」
初めて自分に向けられた笑顔はやっぱり向日葵のようで眩しかった。
再び、彼女はぱたぱたとさっきよりもスピードを落として忙しなく走って廊下の奥に消えていった。
俺もはやく部室に行こう。
そう思ってふと足元を見たとき1枚の淡い桃色の封筒が落ちていることに気がついた。
...Aさんの落し物かな。
そう思って拾い上げて、一瞬息をするのを忘れた。
...なんで...。
名前は濃くはっきりとしたかくかくした字で「AA」と書いていて真ん中には筆ペンかなにかで書かれた漢字2文字。
淡い桃色の封筒
それは彼女の遺書だった。
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作者名:兎月うさぎ | 作成日時:2021年2月19日 22時