A.ー ページ15
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ちょっとだけ見た目を整えるために､脱衣所へ向かう｡
「もしかして､バツがついている部屋がわかんないのかな？」
自分の部屋だからバツをつけてたが､わからないなら説明しなきゃいけない｡ささっと準備を終わらせてリビングへ戻る｡
「こっちの部屋は僕の部屋です｡こっちは僕の仕事用の服などが入ってる部屋なので入らないようにお願いします｡」
怒ってるって思われないように穏やかな声でゆっくり伝える｡時計を見れば結構いい時間だった｡
「それでは仕事なので､行ってきますね｡」
「...あ､行ってらっしゃい！！」
「ってことがありました｡」
今日あった出来事をポージングしながらデザイナーさん､月さんに教える｡
「おぉ〜､そうかぁ｡なにわ男子な...道枝くんは何度かドラマとかで俺の服着てんじゃない？長尾くんはファッションセンスありそうだよね､よくわかんないけどさ〜｡
あ､まって？今の角度めっちゃいい｡そこキープで｡」
そういえばこの人はドラマとかで着る服からアイドルとかの衣装を作ってるすごい人なんだと改めて実感する｡
撮影中は服が主役だからできる限り自分の存在を消す｡あぁ､完璧に自分を消せるモデルさんとかいらっしゃるんかな？興味ないけど｡
「はえぇ〜､相変わらずえっぐい角度でキープしてるね｡体幹しっかりしてるからぶれないのホントすごいわ｡」
「ありがとうございます｡そういえば､夏さんってなにわ男子さんのこと知ってますか？」
もう一人のデザイナーさん｡夏さんの2次元チックな衣装とそれに合うウィッグを持ってきたので､どうせなら聞くことにした｡流行に敏感で､次ブームになりそうなのをマークするのが得意なこの人は知ってそうだけど｡
「え！？知ってる知ってる！憐はなんで知ってるの？そういうの興味ないかと思ってた！」
結構失礼なことを言うな...｡
月さんにした説明をまた1からする｡
「ふーん､じゃあ憐これから大変だね｡」
「そうですね､月さん｡終わりました？」
「ん､いい感じ！次､夏ちゃんの番｡」
衣装を変えるために撮影ブースから移動する際､いつもカメラを担当してくれるもえさんと少し話す｡
「いつもお疲れ様です｡ありがとうございます｡」
「別に大丈夫｡写真とるのは好きだから､憐さんは撮ってて楽しいし！」
「おぉ､嬉しい言葉をありがとうございます｡」
手を振りながら､夏さんの所に向かう｡
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作者名：雨水 | 作成日時：2023年3月27日 20時
