A.ー ページ14
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歯みがき中ということもあり､結構間抜けな声になってしまった｡次からはちゃんとゆすいでから出よう｡
ん？俺､ちゃんと通話ボタン押したよね？相手の声が聞こえないんだけど...｡
「あ､あのぉ？」
〈あ！す､すみません！なにわ男子です！〉
なにわ男子...あっ､そういえば今日だ｡引っ越してくる日｡
「あぁ､ひょうひょうほまひくらはい｡」
通話を切り､急いで口をゆすぐ｡
コンタクトに変えるのは後にするとして､玄関へ早歩きで向かう｡
ガチャっと扉を開けると､なにわ男子の皆さんは話していたようで楽しそうに笑っていた｡
「お待たせしました､皆さんどうぞ中へ｡」
僕が声をかければ全員がこちらを見る｡ポケーっと意識がどこかへ行ってしまってる皆さんはピクリとも動かない｡
なにわ男子さんってもしかして､天然の方が多い？
「あの？中に入らないんですか？」
「すみません､入ります！！」
そんな大きな声で言わなくてもいいのに､元気なんだな､と少し驚くが､愛想よくしないといけないので微笑みかける｡
「どうぞ〜｡」
なかなか間抜けな声で返事をすると皆さん､恐る恐るというように家へと入っていく｡
んな怯えなくても取って食ったりしないのに｡
全員が中に入ったのを確認して､俺はキッチンへと向かう｡
緑茶しかなかったので､それを7つのコップに注ぎ入れて皆さんの所に持っていく｡
「おもてなしが出来たらよかったんですけど､すみません｡今から仕事があってすぐ出なきゃいけないんです...」
仕事がなければそれなりに案内とかできたなと思い､皆さんに謝る｡
「お構い無く〜､こちらこそお仕事前に来てしまってすみません...」
「いえいえ､大丈夫ですよ｡急なお願いに答えていただき､ありがとうございます｡
良ければこのノートに色々書いてくれませんか？この紙には2階の部屋割りが書かれています｡どこの部屋がいいかを決めてもらえると助かります｡」
聞いてた通り､なにわ男子さんって優しいんだなぁと思う｡昨日机の上に置いといたノートと紙をトントンッと叩いて､そちらへ意識を向かせる｡
なにわ男子さんが机の上に置かれたノートと紙を注意深く見る｡なにか仕込んでた方がよかったかな？ビックリ箱みたいな仕掛け｡
ノートは近くのお店で買った普通の大学ノートだし､紙には部屋割りを書いてるだけなんだけどな｡
ちょっとだけ見た目を整えるために､脱衣所へ向かう｡
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作者名：雨水 | 作成日時：2023年3月27日 20時
