Q.普通 ページ2
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息苦しさで目が覚める｡
まだ真っ暗な空｡光がない中､手探りでスマホを探す｡
「まっ､ぶし｡」
電源をつけたスマホがあまりにも眩しくて､目を細める｡液晶に映し出されている3:20という時刻に体が余計重く感じた｡
1月らしい肌寒い気温に布団の中から出たくない気持ちを知らんぷり｡ため息を吐いて､起き上がる｡
「ふぁ〜...」
ペタペタと足音を立てながら､無駄に広いリビングへ向かう｡電気をつけたらがらんとしたリビングが見えた｡
寂しさなんてもう感じない｡ソファに座って､スマホで今日の予定を確認｡
どうやら今日は何も予定が無いらしい｡こういうとき､遊びに誘う友人や誘ってくれる友人がいないのが残念だ｡
なんとなく自分の呼吸する音しか聞こえないこの空間が嫌でスマホから動画を垂れ流す｡
目についたサムネをタップすれば､明るい音声と共にその投稿者特有の挨拶だろうか？楽しそうな声が聞こえてきた｡
「あー､ご飯食べなきゃな...」
スマホをそのままにして､今度はキッチンに行く｡
なんでもいいや､と適当にミニパンをオーブンで温める｡足元を見つめていれば､終わっていたらしい｡無機質な音が鳴り響いてた｡
オーブンの中からパンを取り出したら､今も尚この空間に不釣り合いな笑い声を流すスマホの元へ戻る｡
もそもそとパンを食べていれば､動画の再生が止まる｡
バグか､と目を向けたら､スマホが震えていた｡画面にはデザイナーと名前が設定されている知り合いのアイコン｡
口の中に残ったパンを飲み込んで､電話を取る｡
「もしもし｡」
〈あっ､もしもし？実はさ､明後日ぐらいにそっち行くから撮影させてほしいんだけど､空いてる？〉
「空いてますよ､集合場所はいつものとこですか？」
〈そうそう！じゃあ14:00ぐらいに会おうね〜､ばいばい！〉
「はい､またこん...って切れた｡」
一方的に通話を切られたが､毎回のことなので気にしない｡
カレンダーの予定のところに今言われた内容を書き込む｡空白だった欄が文字で埋まった｡
歯を磨くために立ち上がろうとすると､電話が鳴る｡
時刻は4:00近い｡こんな時間に電話してくるのは､さっきの人とある人達しかいない｡
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作者名：雨水 | 作成日時：2023年3月27日 20時
