３０３話# 最初に秘密を持ったのは... ページ37
〜Aside〜
住宅街を１つまた１つと曲がって、家に近づいていく。
歩幅を並べてはいるものの、沈黙が続いている。
流れるように会話を交わしていた先ほどの時間が嘘のようだ。
さっきまで飲んでいた先輩のように、他人との間に沈黙が流れると、あたしはいつも焦ってしまう。
「なにかしゃべらなくちゃ」と、気を使う。
でもたぶん昔から、修也といる時だけ、沈黙が好きだと思ってしまう。
穏やかな気持ちにさせてくれるんだ。
...まあだからきっと、つまんない女だと思われてる。
足元に目を向ける。
サンダルは、夜の闇で見えにくかった。
A「...」
あれ、さっきまで何をしゃべってたんだっけ。
...そうだ、マコだ。
すると、言葉が自然に出てきた。
A「だんだんさ、あのぐらいの年齢になると、妹離れしなきゃなーって思わない？」
修也「思う」
A「マコさ、だんだん学校の話とかもしてくれなくなっちゃって」
修也「思春期だしな。秘密を持つのが当たり前の年齢だ」
A「やっぱ秘密とか持つと家族には隠すよね」
修也「ああ、俺もそうだった」
最初に秘密を持ったのはいつだろう。
大人はみんな嘘が多すぎて忘れてる。
みんな同じだ。
あたし、如月Aという人間は、秘密でできている。
目の前にいる修也に隠してきた数々の秘密。
全部話してしまえばどんなにスッキリするだろうか。
ただ...話してしまったら...全部が終わってしまうんだろうな。
この心地よい沈黙でさえ、なくなってしまうんだ。
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ノコ(プロフ) - 再開、嬉しいです。ななっちさんの作品はどれも心に染みます。ありがとうございます。大切に読ませていただきます。 (2020年5月27日 1時) (
レス) id: a7f52ab7e6 (このIDを非表示/違反報告)
ななっち(プロフ) - Lakeさん» こちらこそありがとうございます〜 (2020年5月26日 20時) (レス) id: 6b7ac9b579 (このIDを非表示/違反報告)
ななっち(プロフ) - ムスメ3さん» ありがとうございます！ (2020年5月26日 20時) (レス) id: 6b7ac9b579 (このIDを非表示/違反報告)
Lake(プロフ) - 更新ありがとうございます〜！ (2020年5月26日 20時) (レス) id: 7e7ce81c15 (このIDを非表示/違反報告)
ムスメ3(プロフ) - おかえりなさい (2020年5月26日 20時) (レス) id: 87b01b0a04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ななっち
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/trhthe/
作成日時：2018年2月14日 23時
