１０２話# 全てを物語る彼の言葉 ページ29
持っていたビニールを、修也に手渡す。
A「これ、作ったの。良かったら食べて」
修也「？」
A「コーヒームース。修也苦いのが好きだからブラックコーヒーを素にしたんだけど、バニラエッセンスで少し甘みも加えてあるよ」
修也「...俺のために？」
A「...まあ、ね」
ちょっと照れくさくて、視線を反らす。
２人の間に沈黙が流れる。
夏風が木の葉を揺らす音だけが響いた。
A「練習は、どう？次は決勝だよね」
修也「ああ、変わりないさ。鬼道の指示で、何人かが新しい必殺技に挑戦し始めているぐらい」
A「新しい必殺技かー。修也も、爆熱スクリューをものにしてすごいよね」
修也「チームの勝利に繋がることなら、俺は何だってやってみせるさ(微笑)」
その微笑が、あたしの目にはこんなにも切なく映る。
修也「そういえば、イプシロンって覚えてるか？」
A「あー、エイリア学園のやつ、いたねー」
修也「昨日ここにデザームが来たんだよ」
A「えっ、どうして」
修也「今度は人間として俺達に挑戦してきた。新しいチームを率いてな」
A「じゃあ昨日は試合をしてたんだ」
修也「ああ。勝った方が日本代表。結局俺達が勝ったけど、でもあいつらとやるサッカーは、エイリア学園の時よりもずっと楽しかった」
A「そう...」
「楽しかった」。
その言葉がこんなにも辛い。
だって修也は...サッカーを辞めさせられてしまう...
修也「...A、どうした？」
A「...ううん、何でもない。あたしもう行かなくちゃ。午後の練習も頑張って」
修也「っ」
修也に背を向けて軽く駆け出す。
と、その時。
修也の手があたしの腕を掴んだ。
修也「A」
A「な...に」
振り向いて視線を合わせると、修也の目に笑いはなかった。
修也「俺は大丈夫だから...あんまり俺のことで悩まないでくれ」
A「...うん」
下を向いて小さくうなずく。
それが合図かの様に、修也の熱を持った手は、そっとあたしから離れる。
もう一度だけ視線を合わせて、あたしは再び修也に背を向けた。
...今の言葉が、すべてを物語っていた。
修也は、サッカーを辞めてドイツ留学に行く気だ。
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ななっち(プロフ) - かなさん» わーーとても嬉しいです！！長い間ありがとうございます！！もっと面白く書けるように頑張ります！＾＾ (2017年8月20日 15時) (
レス) id: 5b85f290d9 (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - ななっちさんの作品、昔から読んでいています！また復活してくれてとても嬉しいです！私も作品書いているのですが、ななっちさんみたくなれるようにがんばりたいです！応援してます！ (2017年8月20日 10時) (レス) id: e5a68393f3 (このIDを非表示/違反報告)
ななっち(プロフ) - みるくてぃ☆さん» いえいえーまた読みに行くね♪ (2017年8月20日 0時) (レス) id: b79a46e22d (このIDを非表示/違反報告)
みるくてぃ☆(プロフ) - ありがとう!!ちょっと自信が持てた笑 ななちゃんがそう言ってくれて嬉しい!頑張るね(*´ω`*)ほんとありがとう！ (2017年8月20日 0時) (レス) id: 363c42bf1d (このIDを非表示/違反報告)
ななっち(プロフ) - みるくてぃ☆さん» 改善した方がいいとかは思わなかったよ〜色んな作者さんそれぞれの個性がある方がすきだし！なんか全体的にギャグっぽい所がすごく面白くて好き！あたしはギャグ得意じゃないから逆にすごいって思ったよ〜！ (2017年8月20日 0時) (レス) id: 5b85f290d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ななっち
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/trhthe/
作成日時：2017年8月11日 15時
