米【＊＊＊＊＊】 ページ30
そういえばキミは、国語で「××の心情を答えよ」という問いを見たことはないかい？ 俺達は当然のようにそれに応え、採点されるんだ。
けれど真実なんて分かりやしないのさ。例えばの話、正義感に溢れる勇敢な登場人物が、裏では凶悪犯罪を企てているかもしれないじゃないか。そうだろう？
*
「……寒い」
ある寒い日のこと、彼女が風邪を引いたと言うので俺は彼女の家へと訪れていた。
寒い、と身体を震わせる彼女の顔色はとても悪い。
「寒いのかい？ コーヒー淹れようか？」
俺が彼女の顔を覗き込みながらそう言えば、彼女は勢いよくコクコクと頷く。
「OK．たしかこの棚に……あぁ、あったあった」
前に見た記憶を頼りに棚を探す。それにしても綺麗なキッチンだ。窓から差し込む光の影響は爽やかに見える。
淹れたての湯気が立つカップをテーブルに置き、ベッドの上で毛布にくるまる彼女の元に話し掛ける。
「コーヒー淹れたぞ。大丈夫かい？」
「ん、大丈夫。ありがとう」
彼女は力のない笑みを浮かべ、毛布を被ったままベッドを降りる。まだパジャマのままで、いかにも病人、といった感じだ。
「……あれ？」
彼女はテーブルに置かれているカップを覗き込み、首を捻った。
「ねえ、アル」
彼女が俺の名前を呼ぶ。
「ああ、どうしたんだい？」
俺はいつもと変わらぬ笑みを浮かべる。
「アル、これ、コーヒーじゃなくて紅茶……」
彼女が指さすカップの中は、暖かい薄茶色。ミルクの入った淹れたての紅茶だ。
「あぁ、お土産にコーヒーを持ってきたつもりだったんだけどね、間違えて紅茶を持ってきちゃったんだよ」
「へぇ……」
彼女はそんなこともあるのね、と笑うと、まるでキスをするかのようにソッと紅茶を口につける。
「……ふふっ」
彼女の頬が赤く染まる。なんて幸せそうな笑み。紅茶が好きなことは知っていたさ。
「……でも、アルが私の家に来るのは初めてなんじゃ……？」
そう、けれど俺は知っている。君がいつも使うマグカップ。棚の奥にしまってある**から貰った紅茶の葉。
ちらりと隅に目をやった。無機質な1つの目が俺達をじっと捉えている。
ああ、この背徳感がたまらないのだ。彼女の言葉に、俺の口角は自然と上がっていた。
*
問.この時の××の心情を答えよ。
ラッキーアイテム
ビール
この作品の考察のヒントや小ネタを担当キャラが言ってくれるそうですよ
露(蛇)「緑色の目をした怪物。シェイクスピアの『オセロ』に出てくる嫉妬の怪物だよ。無意識のうちに僕はまだ彼女のことが諦められないでいたのかなぁ……」
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桜 水樹 - (バレンタインの話)プーよ…なんて不憫な…wwてかアーサーすげぇなおい!!ちょっとそのチョコわけろよ!!ww (2017年5月22日 0時) (
レス) id: 0aefdd481f (このIDを非表示/違反報告)
黒閖(プロフ) - いえいえ、と言うよりも先進有難いです！！、 毎日ちら見しに参りますね！！(笑) (2016年8月15日 23時) (レス) id: 9214fadac6 (このIDを非表示/違反報告)
ほたてろいど(プロフ) - 黒閖さん» コメントありがとうございます！ お褒めの言葉を頂き嬉しく思います。これからも精進してまいります！ (2016年8月15日 23時) (レス) id: aa355565b4 (このIDを非表示/違反報告)
黒閖(プロフ) - 意味深な終わり方や表現の仕方に色んな意味で心臓がﾊﾞｸﾊﾞｸしたり、ぞく . とします。 この作品は迚も最高です! 、ほろ苦さを感じる系のものも良いですね!、応援してます、頑張って下さい!、 (2016年8月15日 23時) (レス) id: 9214fadac6 (このIDを非表示/違反報告)
千歳(プロフ) - ほたてろいどさん» こんなに早く書いて下さってありがとうございます！！もう素晴らしすぎて興奮が収まりません…！本当にありがとうございました！！ (2016年7月22日 11時) (レス) id: fe9fcb5e70 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ほたてろいど | 作成日時：2015年10月12日 20時
