偶像の時間㉗ ページ46
・
あぁ…アタシ勘違いしてたのね。
＿＿＿＿＿『お前が女なら良かったのに』
＿＿＿＿＿『あんたが男で良かったわ。もし女に産まれてたら私、あんたを…』
じゃあ、アタシはどっちに生まれてたら良かったの？
＿＿＿＿＿『あんたなんか産まなきゃ良かった！！！そうしたらあの人は他の女の所なんか行かず今でも私も見てくれてたかもしれないのに！！！』
じゃあ、なんでアタシなんか産んだのよ？
＿＿＿＿＿『睡蓮君のお母さんがそんな事する訳ないでしょ？嘘を吐いちゃ駄目じゃない』
どうして信じてくれないの？
否定され続けた人生。
性別を否定された。
存在を否定された。
本当のことを言っても嘘だと言われ否定された。
アタシが何をしたっていうの？
大人を信用しなくなった。大人に期待しなくなった。
でも、何より……
これ以上否定されるのが怖かった。
だからアタシは仮面を被った。一人称と口調も変えて、ピエロのように学校生活を送った。
優秀な成績を残し続けた。
困っている人がいれば手を伸ばした。
笑いたくもないのに愛想良く振る舞い、時にはジョークを言ってユーモラスに接した。
けど、気取らないように、偽善がバレないように気を付けながら関わった。
そしたら、ほら、周囲の人はアタシを“優等生”だと持て囃した。
誰もアタシの事を否定しなかった。
これでいいんだと思った。
でも、毎日が息苦しかった。アタシを偽る生活が息苦しくて仕方なかった。業とおじいちゃんとおばあちゃんの家以外安心出来る場所なんてなかった。
だから、E組に来て殺せんせーに自分を偽らなくて良いって言われた時、否定されなかった。息がしやすかった。初めて学校が安心出来るって思ったの。
アタシはいていいんだって世界に受け入れられた気がしたの。
けど、そんなの結局幻に過ぎなかった。
現実っていうのを改めて思い知らされたわ。
本当にバカだわアタシ。
「あの………ふ………殺………？」
業が何かを言ってるみたいだけど全然聞こえないわ。
あれ？可笑しいわね？視界がボヤけていくわ。
アタシの世界から音が、色が消えてゆく。
でも、いっか……このままでも。そうしたら嫌な事全て見る事も聞く事もなくなるんだから＿＿＿
・
・
「ふざけるな」
聞こえにくくなってるのに殺せんせーの声が鮮明に聞こえた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 992人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
めんだこ - 薬屋のひとりごと です! (8月9日 7時) (
レス) @page32 id: 8eaf0ad381 (このIDを非表示/違反報告)
黒帽子(プロフ) - めんだこさんコメントありがとうございます。因みにどんな漫画なのか教えてもらってもよろしいですか？興味が出てきました(๑•̀ㅂ•́)و (8月5日 0時) (レス) id: 5ad37fcfe0 (このIDを非表示/違反報告)
めんだこ - 黒帽子さんに初めて感想です。今回の32話に出てきた羅漢先生っていう名前を聞くと、どうしてもとある有名漫画のキャラをイメージしてしまいまい、にやける自分がいます、、、、。 (8月4日 23時) (レス) @page32 id: 8eaf0ad381 (このIDを非表示/違反報告)
黒帽子(プロフ) - mumuさん» コメントありがとうございます。今書いている番外編と本編でも氷織君との絡みも書きたいので初戦誰と戦うのかを書けるのか今の所分からない状況ですけど希望としては誰と戦うか判明するところまで書きたいです！ (7月21日 22時) (レス) id: 5ad37fcfe0 (このIDを非表示/違反報告)
mumu - 二次選考初戦は誰と戦うのか気になります。 (7月20日 16時) (レス) id: c61307fab8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：黒帽子 | 作成日時：2023年6月19日 0時
