言えない、伝えたい TH (ページ50)

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＊TH ページ50

「…うん。わかってたよテヒョンの気持ち…。うん、大丈夫っ…。

でもね、テヒョン、私ほんとにあなたのこと好きだったの。だからね、テヒョンがどれだけその人を想っていたかも本当はちゃんと気付いてたの。

ちゃんと友達になれるようにするから、仕事仲間として普通に接してね…」

スアは涙を見せながらも、優しく笑った。
そして僕に背を向け、歩き出した。

僕はその背中を見つめながら、スアではなくAのことを思い出す。

Aに会ったら、僕は伝えたい。
僕にはAしかいないこと。
大切に出来ていなくてごめん。
もう一度僕のそばにいて欲しい。

僕の一方的な想いかもしれない。
Aの気持ちはもう僕にないかもしれない。怖いけれど、伝えたいんだ。

側にいてくれる時にちゃんと言えなくてごめん。
もう遅いかもしれないけれど、伝えたい。

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イベント当日、僕らはリハーサルのために大分早い時間に会場入りした。

控室にはお菓子メーカーのイベントということもあり、沢山のお菓子が用意されていた。

Aの家にもいつも沢山のお菓子があって、新商品が出ると必ず僕に渡してくれていたことを思い出す。
その度に「感想教えて？」と聞いてきて、僕はいつも知ったかぶりをして専門家風に意見を言っては、Aがケラケラと笑ってた。

そして僕には特にお気に入りのお菓子があった。
日本限定で韓国には置いてない抹茶味のチョコレート。
韓国にあるチョコレートやクッキーは甘味が強くてそれが美味しいけれど、抹茶味は少しほろ苦い感じが僕はとても気に入っていた。

Aの家には、僕のためにその抹茶味のチョコレートがいつも置いてあった。

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控室の中にあるお菓子を見渡した時、気づいたんだ。

抹茶味のチョコレートがあることに。

日韓合同のイベントだから、日本限定のお菓子があってもおかしくはない。

偶然なのかもしれない。

でも、偶然ではないと思いたい。

Aと離れてからずっと食べていなかった抹茶味のチョコレート

久しぶりに食べるとやっぱりほろ苦かった。

目を閉じると、Aの部屋で過ごしていたあの頃を思い出す。

やっぱり、今日Aはここにいるような気がするんだ。

＊続編に移行します。(準備中)
2022.6.8. 続編公開しました。