＊TH ページ47
マネージャーが各方面調整してくれたことで、
僕らは出演が決まった。
Aの会社は突然の僕らからの逆出演依頼に少し戸惑っていたようだけれど、すぐにオッケーの解答がきた。
今日はそのイベントに関する打ち合わせで、
Aの会社のスタッフが事務所に来ることになっていた。
マネージャーに事前に聞いて、今日来るのは男性スタッフでAではないとわかってはいるのに、
もしかしたら…と期待してしまう自分がいる。
ノックがなって入ってきたのは
男性スタッフ1人だった。
「初めまして。日向と申します。」
彼女と同じ日本人で、僕よりもずっと落ち着いている大人に雰囲気の人だった。
その人は当日のスケジュールや、本番の動きなどを僕らに説明してくれているのに、まったく頭入らない。
この人はAを知っているだろうか、
Aはこのイベントに参加するのだろうか、
それだけが気になって、彼の言ったことはほとんど理解していないまま打ち合わせが終わろうとしていた。
「日向さん！」
僕からの突然の呼び掛けに驚く日向さん。
そしてメンバー達。
「あのっ、このイベントには、日本のスタッフの方も参加されるんでしょうか？」
僕の問いかけにさらに驚いた様子を見せる日向さん。
でも、すぐに元の表情に戻って言った。
「はい。私の他にも数名日本から来ます。創立記念なので本社と韓国支社合同ですすめています。
このステージ案も韓国支社の者が原案を作ったのですが、日本の本社のスタッフが細かい修正を加えました。テヒョンさん達に素晴らしいステージを披露していただけるよう、私たち日本のスタッフも精一杯努力させていただきます。」
「僕らのステージ…」
さっきまで頭に入ってこなかったのに、
日向さんの話を聞いて、僕らのステージの企画書を改めてみると、事細かに舞台設置や衣装、立ち位置が記載されていることに気付く。
もしかしたら、僕のステージをAは見てくれるかもしれない。
もしかしたら、このステージに関わっているのかもしれない。
「日向さん、僕らがこのステージを成功させれば、日本のスタッフの方も喜んでくれますか？」
「…はい、もちろん。」
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作者名：kerokero0114 | 作成日時：2021年5月22日 20時
