言えない、伝えたい TH (ページ27)

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＊TH ページ27

＊TH side

あの日、スタジオで会った日、
スアからどうしても相談があると言われて
Aとの約束を軽い気持ちで断ってしまった。

Aはいつも優しく、僕を受け止めてくれるから、大丈夫だと思ったんだ。

　
だって、いつも大丈夫だったから。

僕を理解してくれる唯一の人だから。

でも、あの日は少し様子がおかしくて、
電話の最後の方は、優しい口調なんだけと、
僕を突き放すような、僕のことなんてどうだっていいようなそんな風に感じたんだ。

僕の気のせいだとも思った。
僕を責めたり、怒っているようには思えないから。
でも、何故か胸騒ぎがするんだ。

あの後何度か連絡を入れたけれど、仕事が忙しいと会ってもらえなかった。

連絡無しにマンションに行く事もあったけれど、
仕事が忙しいという人のところに料理も家事も出来ない僕が、ただ押し掛けるなんてことは出来ないでいた。

もうすぐ僕も海外での仕事で韓国を離れるから、
なんとかAに会いたくて連絡をしたけれど、
それでもやっぱりダメで。

仕事が忙しいだけだよね？
僕を避けてるわけじゃないよね？

少しだけ、ほんの少しだけ不安だった。

何度かAのマンションの前を通って、部屋に電気が付いてるか確認した。
僕も仕事が不規則なところがあるから、時間が定まらず、Aは仕事なのか寝ているのか電気が付くことはなかった。

けど、諦められなくて
海外へ出発する日の朝、Aのマンションの近くにある公園に向かった。

昔から始発の電車に乗って仕事へと向かう彼女だから、この時間なら会える気がして。

.

そしたら、仕事へと向かうAが公園の前を通った。

「Aっ」

大きな声で呼ぶと驚いた様子で僕を見つめた彼女。

「テヒョン、こんな所で。誰が見てるかわからないのに。」

慌てる彼女に僕も説明をした。

「マネージャーが公園の前に車を停めてるから、人が来たらわかるようにしてる。大丈夫。それより、急にごめん。それと、この間、約束破ってごめん。あと、やっぱり海外に行く前はAに会いたかったんだ。」

今更謝っても、約束を破ったことは変わらないし、
そもそもAかこのことで起こっているかもわからない。でも、とにかく自分のモヤモヤをスッキリさせたかった。

またいつものように、Aに
「大丈夫」って言って欲しかった。

その言葉と、彼女の笑顔を見れたら
きっと僕は安心できるから。