言えない、伝えたい TH (ページ20)

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＊SA ページ20

SA side

さっきからメンバーの皆んなの様子が少しだけおかしい。

おかしいというよりも、コソコソ話して笑ったり、どこか浮かれているようなそんな雰囲気。

ほんの少し前、私が楽屋を出る前と全然違ってた。

特にテヒョン。

時計をチラチラと見たり、時間があれば廊下に行ったりと自分の撮影時間外はスタジオを出て行こうとすることが多かった。

他のみんなも、テヒョンの様子を見ながら笑ったり、何人かまとまってスタジオの外の様子を伺ったり、
みんなの意識がこのスタジオじゃなくて、スタジオの外に向いているような感じで。

ジミンさんとホソクさんも、さっきペアの撮影が終わったらスタジオから出て行った。

戻ってきたと思ったらすっごく機嫌がいいしホソクさんは少し興奮している感じがした。

そして、そのままペア撮影の順番を待つテヒョンに声を掛けると、テヒョンはすぐにスタジオから出て行ってしまったの。

そのテヒョンの行動にもメンバーは笑っているし、何がなんだかわからない。

やっと、ずっと大好きだったテヒョンの側にいれるのに、まだ私はテヒョンの心には近づけていない。

私は中学生の頃からテヒョンが好きだった。

アイドルになるため地元を離れて行った彼を忘れることができなくて、なんとか彼らのスタッフとしてテヒョンの側にいることができるようになった。

離れてからもずっとテレビで見ていて、忘れられなかった。

久しぶりに会ったテヒョンは、あの頃よりもずっとかっこよくて、優しくて、もっともっと好きになったの。

テヒョンも私のことを覚えていてくれて、
私が相談したいと言えば、時間を作ってくれるし、
少しずつだけど、テヒョンに私のことを意識して欲しかった。

けど、なかなか上手くいかなくて。

海外の仕事に同行したとき、偶然テヒョンが誰かに電話をしているところを見たの。

ベランダに出てリラックスした表情で、夜空を見ながら話すテヒョンはとても綺麗だった。

好きな人のそんな顔見れば誰だってわかる。

電話の相手はテヒョンの好きな人なんだって。

それが悔しくて仕方なくて、わざと電話中のテヒョンに向かって声を掛けたこともあった。

こんなことしても、どうにもならないってわかっているけれど、テヒョンの一番側にいるのは間違いなく私のだから。

だから、テヒョンに私を見て欲しいの。