言えない、伝えたい TH (ページ2)

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時刻は夜の8時

彼の分のご飯は片付けて一人食事を始めたとき、また通知音が鳴った。

"お腹空いた。何か食べたい。"

ジョングクくんだった。

彼はきっとテヒョンが私との約束ではなく、先輩との付き合いを優先させたことを知ったのだろう。

時間的にも料理を作っていただろう私のことを気遣って、連絡をくれたんだと思う。

そうすぐに思えるのは、
このタイミングでの連絡が初めてではないから。

"ハンバーグあるから、お弁当にして渡すね。アパートの前に着いたら教えて"

一年前くらいからかな、
テヒョンが私よりも他の人との約束を優先させるようになったの。
約束はあって無いようなものになっていった。

そんな時、電話をくれたのがジョングクくんだった。

「ヌナ？ヒョンのご飯作ってたんじゃ無い？」

「作ってたけど、大丈夫だよ。」

「そのご飯、僕が食べちゃダメ？」

この時から、テヒョンとのご飯がキャンセルされるとジョングクくんが連絡をくれて、
お弁当にして渡すことがたまにあった。

もちろん、毎回ではないけど、
テヒョンからキャンセルの連絡が来ると、
ジョングクくんからも連絡くるかなという思いにもなるようになった。

一度だけ、テヒョンに言ったの。
テヒョンが食べなかったご飯、ジョングクくんにお弁当にして渡したよって。

「そっか、ジョングクが食べてくれて良かった」

彼は特に何も思わなかったんだと思う。

ただ、食材が無駄にならなくて良かったとでも思ったのだろう。

期待なんてしていなかったけれど、
「僕も食べたかった」
そう言って欲しかった。

ジョングクくんにお弁当を渡すたびにこの会話をするのはツラくて、
私からテヒョンにこの話を言うことは無くなった。