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「ふふ、ううん、違うの。あの紙のイタチって本当にあなたにそっくりなんだなって思っただけ」
首を伸ばしてキョロキョロしてるところがそっくり。Aはそう言ってまたクスクス笑った。
それを言うなら君の小鳥だって、手を差し出すまでくるくる飛び回っているのが、質問をしたくて先生の周りでうずうずしているAにそっくりだけど。
ヒョンジンはそう言おうとしたが、ちょうど駅に着いてしまったのでタイミングを逃した。
ヒョンジンたちが外に出ると先ほどまで晴れていた空を雲が覆い、ザアザアと雨が降ってしまっていた。
こういう時、魔法使いは杖から魔法を出して杖を傘代わりにするのだが、ここはマグルの街だし、ましてや未成年のヒョンジンたちはここで魔法が使えなかった。
「わぁ、酷い雨だね…」
「天気予報では降らないって言ってたのに」
「どうしよっか」
「そうね…私の家がそこの角を曲がって2ブロック先なんだけど、家まで走る?」
Aがそう言って悪戯っぽく笑うから、ヒョンジンはなんだか楽しくなって、うん!と頷いた。
ただ、ヒョンジンは人の家にお邪魔するのにずぶ濡れになってしまうのはいかがなものだろうかと思い、羽織っていた薄手の上着を脱いでAまで覆えるように手で広げた。少し狭いが2人でぴっとりとくっ付けばずぶ濡れにはならなそうだ。
ヒョンジンが服を広げながら、Aに自分の腕の中へ入るように促すとAは少し驚きながらも腕の中へと入り込んだ。彼女は間近にあるヒョンジンの顔を覗き見てありがとうとニッコリ笑った。
「それじゃあ行くよ?…せーの!」
ヒョンジンの掛け声で2人は屋根の下から飛び出した。バシャバシャと水が跳ねて、ズボンの裾が濡れていく。
「ヒョンジン、そこの家!白い壁にエメラルドグリーンの扉の!」
しばらく走ったところでAがそう言った。2人はその家の玄関ポーチに駆け込み、雨で濡れた体を手で叩く。ヒョンジンが頑張って腕を伸ばしたおかげで、Aはあまり濡れていなかった。その代わりにはみ出していたヒョンジンの左腕はぐっしょりと濡れていたが。
「ありがとうヒョンジン」
「ううん、どうってことないよ」
その時、玄関の扉がガチャリと開き、中から中年の女性が現れた。
「今誰かが走ってきたのが見えてまさかと思ったけど、やっぱりあなたたちだったのね!」
クスクス笑うその人の口元がAにそっくりだった。
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BB(プロフ) - マニ。さん» こんばんは。コメントありがとうございます🙇🏻♀️恐れ入りますが、当方ボードなどは利用しておりません。マシュマロを開放しておりますので、何かあればそちらにお願いします🙇🏻♀️ (2月22日 21時) (レス) id: cf4a94678c (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - BBさん» ✉️。こんにちは!とても面白いです!ハリポタとか大好きなのでスキズも大好きです!もしよろしければ一緒にボードで会話しませんか?これからも更新応援してます💝 (2月22日 20時) (レス) id: 861062e758 (このIDを非表示/違反報告)
BB(プロフ) - えんさん» ありがとうございます🙇🏻♀️ (1月29日 5時) (レス) id: cf4a94678c (このIDを非表示/違反報告)
えん(プロフ) - わあもうほんとに好きです、、😵💫😵💫😵💫スキズも好きだしハリポタも好きだしほんと私得すぎます💘💘 (1月25日 21時) (レス) @page11 id: 284b114cd7 (このIDを非表示/違反報告)
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