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あの夜からヒョンジンと一緒にいる時間が増えていた。最初こそ今まで通りこっそり会うようにしていたのだが、何も悪いことじゃないんだから、堂々とAと一緒にいたいと言う彼の希望で、空いた時間を一緒に過ごすことが増えたのだ。Aは少しばかり周りの目を気にしていたのだが、それもリノのおかげで堂々としていられるようになった。
そのおかげもあってか、ヒョンジンはアイエンやバンチャンたちとも仲が良くなったらしい。親しい後輩がいなかったためか、年下のアイエンが可愛くて仕方ないようで、姿を見つけては頭をぐしゃぐしゃと撫でている。
「わ、わぁ、ヒョンジニヒョンやめてください」
「ほんと可愛いねぇ」
「あぁ、髪が…」
やっと解放されたアイエンの髪が可哀想なほど乱れてしまっていて気の毒だったので、Aは彼の髪を手で梳いて直してやった。
そうやって、他愛もない話をしながら迷路へ入って行った選手たちが帰ってくるのを待っていた。
「…あいつ、どうしたんだ」
様子がおかしいことに気がついたのは、一番乗りで帰ってきたハリーとセドリックを見たリノがそう呟いた時だった。
みんなホグワーツの代表が優勝杯を持って帰ってきたことでお祭り騒ぎになっていたが、リノのその言葉は何故か耳にスッと入ってきた。
恐らくヒョンジンの耳にも聞こえたのだろう。彼もAと同じように、自分の隣にいるリノに視線を向けていた。
少しずつ、みんなが異変に気がつき始めた。ハリーとセドリックの元へ先生たちが駆け寄って何か話している。その間もセドリックは倒れて動かぬままだった。
そして、誰かが『死んでるぞ!』と声をあげた。たちまちそれは波紋のように広がっていき、至る所で悲鳴が上がり始めた。Aの首筋に、たらりと汗が流れた。
「戻ってきた、あいつが、ヴォルデモートが」
ハリーの声が響いた。
アイエンがヒュッと息を呑むのが聞こえる。Aは自分の呼吸がどんどん乱れていくのがわかった。手の震えが止まらない。
ヒョンジンはそんな震えたAの手をぎゅう、と力強く握った。Aがハッとしてヒョンジンの顔を見たが、彼はただ真っ直ぐセドリックの亡骸を見つめていた。握られた手の痛みが、これは現実なのだとAに知らしめている。
少しずつ、でも確かに2人の歯車が狂い始めた瞬間だった。
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BB(プロフ) - マニ。さん» こんばんは。コメントありがとうございます🙇🏻♀️恐れ入りますが、当方ボードなどは利用しておりません。マシュマロを開放しておりますので、何かあればそちらにお願いします🙇🏻♀️ (2月22日 21時) (レス) id: cf4a94678c (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - BBさん» ✉️。こんにちは!とても面白いです!ハリポタとか大好きなのでスキズも大好きです!もしよろしければ一緒にボードで会話しませんか?これからも更新応援してます💝 (2月22日 20時) (レス) id: 861062e758 (このIDを非表示/違反報告)
BB(プロフ) - えんさん» ありがとうございます🙇🏻♀️ (1月29日 5時) (レス) id: cf4a94678c (このIDを非表示/違反報告)
えん(プロフ) - わあもうほんとに好きです、、😵💫😵💫😵💫スキズも好きだしハリポタも好きだしほんと私得すぎます💘💘 (1月25日 21時) (レス) @page11 id: 284b114cd7 (このIDを非表示/違反報告)
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