鷲は蛇と夢をみる

クディッチワールドカップ ページ44

クディッチのスタジアムはマグルのサッカースタジアムとは比べ物にならないほど大きかった。何万人という魔法使いが押し寄せた会場は熱気に包まれている。

Aたちの席は最上階から少し下で、左右のゴールポストがよく見える位置にあった。

両チームの紹介が始まり、ブルガリアのマスコットであるヴィーラが登場すると、ハン達3人は目を奪われて落ちそうになるほど座席から身を乗り出し始めたので、肩を引っ掴んで椅子に座らせなければならなかった。

アイルランドのマスコットであるレプラコーンが金貨の雨を降らせたあと、選手たちが箒に乗って勢いよく入場した。



「わぁ！！あれがクラムだよ！！あの、ブルガリアの選手！！」

「え、ど、どれ？」

「ほらあそこ！」



ハンは興奮したように赤いユニフォームを着た1人の選手を指差した。私は遠目に見える選手を追いかけるだけで精一杯だったので、一体どれがクラムなのかわからなかったが、サポーターが持っている彼のポスターやグッズのおかげでクラムの顔だけは頭に焼き付いていた。

アイルランドチームと審判の紹介が終わると、ついに試合が開始した。

普段学校で見ている試合とはまるでレベルが違う。特にブルガリアのシーカーであるクラム___やっと判別がついた___は地面スレスレを飛ぶような技を繰り出して会場を沸かせた。

そして、ついにクラムがスニッチをキャッチして試合は終了したが、なんともおかしなことにスニッチを捕ったのはブルガリアなのに、勝者はアイルランドだった。

Aとスンミンが混乱する中、ブルガリアが得点をリードしていないのにスニッチを捕ったから、170点を持っていたアイルランドが勝利したのだとフィリックスが興奮気味に説明してくれた。

テントに帰るとクディッチ好きのハンと彼のお兄さん、フィリックスの3人の話が止まらなかった。あそこでウロンスキー・フェイント___地面スレスレを飛んだあの技をそういうらしい___をやったクラムは最高のシーカーだとか、アイルランドのチェイサーの技をどうやったら真似できるだろうとか。

Aとスンミンも時々質問したりしながら余韻に浸る。その晩は興奮で眠れなかった。

外では歓声や爆竹を鳴らすような爆発音が聞こえ、キャンプ場はお祭り騒ぎになっている。

寮も違えば、部屋も違う3人とこうやって夜更かしをするのはなんだか新鮮で、気がつくとふかふかとしたソファでうたた寝をしていた。

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