ホットチョコレート ページ26
寮への道を歩いていると奥から重い足取りで歩いてくるヒョンジンが見えた。濡れた髪が鬱陶しかったのか、艶のある黒髪は一本に束ねられており、長めの前髪が頬骨のあたりに垂れ下がっている。
「ヒョンジン?」
「A…医務室にいたの?」
彼はAが歩いてきた方を見てそう言った。
「うん。あぁ、でも私じゃなくて友達が気分悪くしちゃって付き添ってたの」
「じゃあ、Aは何ともないの?」
「うん」
正直完全に回復しているとは言えなかった。隣に自分よりも具合の悪い人がいると、自分の体調の悪さは忘れてしまうもので、医務室を出るとゾワリとした寒気やあの独特の気分の悪さがぶり返してきた。
しかし、マダム・ポンフリーの手厚いケアを受けるほどではないと思ったため、すぐに寮へ帰って暖まろうと思っていたところだったのだ。
「…それより、ヒョンジンのが具合悪そうに見えるけど」
「あー、やっぱり顔色悪い?」
彼の顔は先ほどのアイエンとまでは行かないが青白く、普段薄いピンク色に染まっている唇も今は血の気が引いているように見えた。
ディメンターの冷気にやられたのだろうか。彼も医務室へ向かう途中だったようだ。ヒョンジンは青白いその顔を手でぐしぐしと拭った。
「チョコレートは食べた?」
「え、チョコレート?」
「ディメンターに会った時はチョコレートを食べると良く効くの」
「へぇ、そうなの?」
どうやら彼はこの事を知らなかったらしく、目を丸くして驚いていた。
列車でディメンターに遭遇した時、自分は何も話さずに彼のそばを離れてしまったけど、こんな風に具合を悪くしていたんだろうか。何だか彼に悪いことをしてしまった気がした。
そういえば、とハンから貰ったチョコの包みが数個余っていることを思い出し、それを彼の手に押し付けた。
「友達がくれたものだけど、良かったら食べて」
「でもAのなんじゃないの?」
「私は平気。寮の部屋にもチョコレートがあるし」
「…そう?ありがとう」
ヒョンジンはその場でひとつ包み紙を開いて口にする。なんだかあったかくなるね、と口を綻ばせた。その言葉通り彼の顔には血色感が戻り、先ほどよりも顔色が良くなったように見える。
「あとは暖かくしていれば平気だと思うけど、それでも気分が悪いようなら医務室に行ったほうがいいよ」
「ううん、これで結構回復したかも。チョコってすごいんだね」
「私も最初は冗談だと思ったけどね」
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ジャコ(プロフ) - 支配人Bさん» わざわざありがとうございます🙇♀️お手数をお掛けしてしまい申し訳ございません!💦マシュマロの方送らせて頂きましたが、文字数制限ぎりぎりまで書いてしまったのでお手隙の際にお読み頂ければ幸いです🙇♀️ (8月28日 23時) (レス) id: 250cf595b1 (このIDを非表示/違反報告)
支配人B(プロフ) - ジャコさん» 追記です!トップページの注意書きの下にマシュマロのリンクを用意しましたので、取り急ぎこちらから感想をお願いします! (8月27日 22時) (レス) id: cf4a94678c (このIDを非表示/違反報告)
支配人B(プロフ) - ジャコさん» ありがとうございます!今Twitterのアカウント作成をしているのですが、何故か凍結されておりまして、数日したら開設できると思います!その際はこちらからお知らせします。もうしばしお待ちください🙇♀️ほんとにありがとうございます😭 (8月27日 22時) (レス) id: cf4a94678c (このIDを非表示/違反報告)
支配人B(プロフ) - NTさん» ありがとうございます😭今日ハリポタツアー行ってきたので解像度爆上がりしてます!これからもよろしくお願いします! (8月27日 22時) (レス) id: cf4a94678c (このIDを非表示/違反報告)
ジャコ(プロフ) - 質問失礼致します🙇♀️ご迷惑でなければ長文での感想を送らせて頂きたいのですが、マシュマロやお題箱、Twitter(現X)、占ツクCOMMUのメッセージ等、作者様にとって最適なサイト等ございますか?💦もし迷惑でしたら大丈夫です! (8月27日 19時) (レス) @page29 id: 250cf595b1 (このIDを非表示/違反報告)
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