鷲は蛇と夢をみる

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「A！」

「リクス！あなた平気？」

「うん、さっきまで気分が悪かったんだけど、チョコレートを食べたらマシになったよ…イエナも気分が悪いの？随分顔色が悪いね」

「そうみたい…とりあえず試合お疲れ様」

「うんありがとう。こんなにもスッキリしない勝利は初めてだよ」



カナリア・イエローのユニフォームを着たままのフィリックスはそう言うと深くため息をついた。

ベッドに腰掛け、大きなチョコレートのかけらを食べるアイエンの隣に座って彼の背をさすっていると、私たちに気がついたのであろうバンチャンがハリーのベッドから歩いてきた。



「やぁ、みんな」

「チャニオッパ…災難でしたね」

「うーん、ほんとにね。僕もそうだけど、チャンビナはまだ怒りが収まらないみたい。更衣室でピリピリしてるよ」

「そりゃそうだよ…あんな試合フェアじゃない」



ハッフルパフ生らしくそう言ったフィリックスの肩をバンチャンが優しく叩いた。



「今回は運が悪かったんだ。クディッチのルールには反してないし…」



雨でセットが崩れ、普段よりもくしゃっとカールした頭を掻くバンチャンは悔しそうに眉を顰めた。しかし、すぐにAとアイエンを見て心配そうな表情を浮かべた。



「それよりもイエナとAは大丈夫？僕たちはすでにケアしてもらったんだけど」

「はい、私は平気ですよ」

「僕もさっきよりは」



未だ青白い顔でそう言ったアイエンの頭を撫でたバンチャンは、優しく笑いながら無理するなよと言ってユニフォームを着替えに行った。フィリックスも彼に続くように、またねと手を振って私たちのもとを離れる。

入れ替わるようにやってきたマダム・ポンフリーによりケアを施されたアイエンは、念のため医務室で一夜を明かすことになった。

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