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フッと列車内の明かりが消え、誰か女子生徒が悲鳴を上げたのが聞こえた。ルーモスを唱えようとしたところで自分が杖を置いてきてしまったことに気がついた。
あぁ、魔女失格だ…なんて思っていると、何か人ならざる者が列車に乗り込んでくる気配がした。
目の前にいたヒョンジンもそれに気がついたらしい。暗闇の中で彼が息を呑む音が聞こえる。2人の間にピキリと緊張が走った。
次の瞬間、Aは手を掴まれて目の前のコンパートメントへと連れ込まれる。
Aが驚きで悲鳴を上げそうになると、小さくルーモスと唱える声が聞こえ、ぼんやりとした弱い光が包み込んだ。
「落ち着いて、僕だから!」
「ごめんなさい、杖がなくてパニックになっちゃって…」
「ごめん、とりあえず隠れたほうがいいかと思って。ここは僕らのコンパートメントだけどみんな出払ってるから安心して」
「あ、ありがとう」
彼の光力を抑えた光はAの心をかなり落ち着かせてくれた。そうしてやっと気がついたのだが、どうにも寒い気がする。
9月だというのに2人が吐く息は白く、なんとも言えない気味の悪さが体にまとわりついている。
その瞬間、コンパートメントの外を通っていく黒い大きな布切れのような物が目に入り、2人は息を呑んだ。
黒いローブから覗く腐敗した灰色の手。それは本で読んだ通りの見た目をしていた。
「あ、あれって、ディメンター」
「しー…」
彼は小声でノックスと唱えて明かりを消した後、自分の口元に指を立て、静かにしていろという表情を浮かべる。Aは静かに頷き、口に手を当てて自分の気配を極限まで消そうと努力した。ディメンターは何かを探しているのか、こちらへ入ってくることなく通り過ぎて行った。
しばらくすると、列車内の明かりが点き、再び列車は走行を始めた。
明るくなったことで2人の距離が思っていたよりも近いことに気がつき、Aは大慌てで立ち上がって彼から距離を取った。
「あ、えっと、匿ってくれてありがとう。それじゃあ」
「あ…」
言い逃げするようにコンパートメントを出る。彼は何か言いかけていた気がしたが、これ以上ここにいるとスリザリンの子達が帰ってくると思ったし、ディメンターのせいで本を読んでいた時よりも気分が悪くなっていてそれどころではなかった。
こういう時にはチョコレートが効くのだと、何かの本で読んだ気がする。一刻も早くチョコレートを食べてこの寒気と暗い気持ちを晴らしたかった。
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ジャコ(プロフ) - 支配人Bさん» わざわざありがとうございます🙇♀️お手数をお掛けしてしまい申し訳ございません!💦マシュマロの方送らせて頂きましたが、文字数制限ぎりぎりまで書いてしまったのでお手隙の際にお読み頂ければ幸いです🙇♀️ (8月28日 23時) (レス) id: 250cf595b1 (このIDを非表示/違反報告)
支配人B(プロフ) - ジャコさん» 追記です!トップページの注意書きの下にマシュマロのリンクを用意しましたので、取り急ぎこちらから感想をお願いします! (8月27日 22時) (レス) id: cf4a94678c (このIDを非表示/違反報告)
支配人B(プロフ) - ジャコさん» ありがとうございます!今Twitterのアカウント作成をしているのですが、何故か凍結されておりまして、数日したら開設できると思います!その際はこちらからお知らせします。もうしばしお待ちください🙇♀️ほんとにありがとうございます😭 (8月27日 22時) (レス) id: cf4a94678c (このIDを非表示/違反報告)
支配人B(プロフ) - NTさん» ありがとうございます😭今日ハリポタツアー行ってきたので解像度爆上がりしてます!これからもよろしくお願いします! (8月27日 22時) (レス) id: cf4a94678c (このIDを非表示/違反報告)
ジャコ(プロフ) - 質問失礼致します🙇♀️ご迷惑でなければ長文での感想を送らせて頂きたいのですが、マシュマロやお題箱、Twitter(現X)、占ツクCOMMUのメッセージ等、作者様にとって最適なサイト等ございますか?💦もし迷惑でしたら大丈夫です! (8月27日 19時) (レス) @page29 id: 250cf595b1 (このIDを非表示/違反報告)
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