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「これまだ読んでる途中なの?」
「うん、あと一章くらい。これから湖の畔で読み終えようと思ってて」
「え!じゃあさ読み終わったら僕にこの本借してくれない?」
「い、良いけど」
「本当に?ありがとう!」
よほど嬉しかったのかヒョンジンはそう言って目を細めて笑った。彼がこんなにも柔らかい表情を浮かべるなんて知らなかったな。
それにしても今の声が図書室に響いてしまい、図書室を管理するマダム・ピンスに怒られるのではと少し冷や汗をかいた。
焦るAに対してヒョンジンは嬉しそうにAの名前を尋ねてきた。そうか、そういえばこちらが一方的に知っているだけであって、彼は私の名前を知らないのか。
「Aだよ。レイブンクローの3年生」
「僕はヒョンジン。よろしくねA!」
ヒョンジンはこれまた嬉しそうに目を細めてそう言った。彼はまだ話し足りなそうだったのだが、彼の声を聞きつけてきたマダム・ピンスに図書室は静かに本を読む場所であり、大声で自己紹介をする場所ではないと怒られ、二人して外へ出されてしまった。
「あー、この後…あ、そっか本読むんだよね。ごめんこれ返すね」
ヒョンジンは名残惜しそうに持ったままだった私の小説を手渡した。
「えっと、じゃあ、また今度ねA」
「またね」
「…!うん!」
Aの返答にパッと笑顔を浮かべるとふにゃりとした手つきで手を振り、スキップでもしそうな足取りでその場を立ち去った。
緑のローブがふわふわと揺れるその後ろ姿は、友人の話からは全く想像できない姿でなんだか拍子抜けしてしまった。
彼があんなにもこの本を読みたがっている。家の近くの小さな本屋で買ったこの本がなんだか特別な物のように思えた。
彼のためにも早く読み終えなければ。
湖へ向かう足取りは軽かった。
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ジャコ(プロフ) - 支配人Bさん» わざわざありがとうございます🙇♀️お手数をお掛けしてしまい申し訳ございません!💦マシュマロの方送らせて頂きましたが、文字数制限ぎりぎりまで書いてしまったのでお手隙の際にお読み頂ければ幸いです🙇♀️ (8月28日 23時) (レス) id: 250cf595b1 (このIDを非表示/違反報告)
支配人B(プロフ) - ジャコさん» 追記です!トップページの注意書きの下にマシュマロのリンクを用意しましたので、取り急ぎこちらから感想をお願いします! (8月27日 22時) (レス) id: cf4a94678c (このIDを非表示/違反報告)
支配人B(プロフ) - ジャコさん» ありがとうございます!今Twitterのアカウント作成をしているのですが、何故か凍結されておりまして、数日したら開設できると思います!その際はこちらからお知らせします。もうしばしお待ちください🙇♀️ほんとにありがとうございます😭 (8月27日 22時) (レス) id: cf4a94678c (このIDを非表示/違反報告)
支配人B(プロフ) - NTさん» ありがとうございます😭今日ハリポタツアー行ってきたので解像度爆上がりしてます!これからもよろしくお願いします! (8月27日 22時) (レス) id: cf4a94678c (このIDを非表示/違反報告)
ジャコ(プロフ) - 質問失礼致します🙇♀️ご迷惑でなければ長文での感想を送らせて頂きたいのですが、マシュマロやお題箱、Twitter(現X)、占ツクCOMMUのメッセージ等、作者様にとって最適なサイト等ございますか?💦もし迷惑でしたら大丈夫です! (8月27日 19時) (レス) @page29 id: 250cf595b1 (このIDを非表示/違反報告)
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