43__東西狐合戦 ページ43
syp_side
暑い夏が過ぎて、いつの間にか季節は紅葉が赤く染まる秋へ。
天狗山に来るのも随分と慣れたもので、ふわふわと漂う羽に頼らずとも門まで来れるようになっていた。
em「久しぶりですね」
俺が襲われたあの日から教えてもらう護身術のレベルがかなり上がっている。なんでも姉ちゃんとオスマンさんの頼みらしい。
最近やっと今まで覚えてきたお札の応用ができるようになってきた。
syp「水蒸気で霧を作るお札、この前成功しましたよ」
em「おお！本当にショッピさんは何でもよく吸収しますね」
それならば、とエミさんは更にレベルの高いお札を教えてくれる。
em「身代わりのお札です。攻撃をお札が3割程度を庇ってくれます」
syp「意外と少ないんすね…全部庇ってくれるのかと」
em「紙ではなく体に書けば自分に起こる全ての災いから身を守ってくれます」
syp「じゃあそうしたら無敵なんじゃ、」
コト、とお札セットを置いたエミさんが俺を見つめる。
em「ですが、残った寿命の4分の1が奪われます」
syp「…代償ですか」
em「ええ、そんなとこです。ですから多少不便になりますけど、紙に書くことをオススメします」
syp「今日もありがとうございました」
em「いえいえ」
玄関までエミさんは見送りに来てくれた。その後ろで天狗達がバタバタと忙しそうにしている。
syp「なんか、いつもよりバタついてますね」
em「あぁ、東にある天狗屋敷から行方不明者の捜索願が来たんですよ」
エミさんはそう言うと特徴や人相などをまとめた紙を俺に渡した。
em「何か気がついたことがあれば連絡をください」
syp「それじゃあ、料亭の人達にも教えときますね」
em「それは助かります。それじゃあお気をつけて」
syp「はい」
本当に天狗って警察みたいな仕事してるんだな。それにしてもバタつきすぎな気もするけど。
俺は貰ったその紙を眺めながら帰路に着いた。
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