36______ ページ36
syp「あの？」
「あぁ、ようやく」
syp「どうかしました…？」
「人間を喰える」
その時やっと気がついた。こいつは俺を喰おうとしている。
ゾワリとした寒気を感じるよりも速く、男は急に俺に飛びかかった。
信じられないような力だ。首をキリキリと締められうまく呼吸ができない。
男の体は真っ黒で、長い毛が生えており、人間の姿はどこにもなかった。なんなんだ、こいつは。
syp「やめ、ろッ…」
一体何の妖だ。なんで料亭にこんなやつが。
「一個ずつ答えてやるよ。俺は覚だ。人間の考えていることがわかる。そして、喰えそうな人間を探すためにこの料亭にいたんだ」
男の指が更に首に食い込み、どんどん気管を絞めていく。俺の力じゃ解けない！少しでも何か、何か…っ！
「覚は意外と怪力だったりするんだよ。いやぁ、お前みたいな人間が居てくれて助かった。油断し切った人間はすぐ騙される」
蹴飛ばしてやろうと足を振り上げたがその足は易々と掴まれ、ミシリと嫌な音を立てる。
syp「い"ッ、」
何かないのか…！この状況を打破できるようなものが！
その時、お札とインク漏れをした筆ペンが目に入った。きっと足を上げた反動でポケットから滑り落ちたのだろう。
大丈夫、手が届くところにある。お札が書ければ、抜けられるかもしれない。
「お札書こうと思ったって無駄だぞ。言ったろ？考えてることは丸見えなんだから。それにそのお札完成してないんだろ？」
そう言って男は筆ペンを拾い上げ片手で真っ二つに折った。インクがぼたぼたと落ちてくる。
「ほら、大人しくしてなよ。お姉さんには結界張ってなかったから暴走した妖が侵入したんだって言っとくよ。…我ながらよくここまで我慢した。目の前にいる旨そうな人間を見ながら仕事をするのは辛かった」
自分語りに没頭し油断しきった男。俺は覚られるよりも早くお札を掴み、インクの付いた指で最後の一画を書いた。
「は？」
意識を俺に戻した男はやっと覚ったらしい。驚いたのだろうか、首を絞める力が少し緩んだ。油断してるだなんてそっくりそのまま返してやる。
syp「あ、まい、ッな…ッ！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 100人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「wrwrd」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
支配人B(プロフ) - ゆきなさん» 返信が遅くなって申し訳ありません。狛犬ではなかったですが、狛犬knさんも凄くいいですね！！ (2020年4月19日 15時) (
レス) id: 99b6c0e8f8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - knさん…狛犬かな？ (2020年3月19日 3時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
支配人B(プロフ) - ゆきなさん» ありがとうございます！鵺良いですよね…かっこいいですよね…鵺。更新楽しみにしててください！ (2020年3月19日 3時) (レス) id: 99b6c0e8f8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - 妖怪最高…推しが尊い…鵺って…最高かよ！！！！これからも無理せずに頑張ってください！楽しみにしてます！ (2020年3月18日 23時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
