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チーノが車の中で足を組もうとしたので太ももを叩いて止める。「なにすんねん」とでも言いたげな顔だったが大人しく窓の外を見ることにしたようだ。
チーノには限りなく女のフリをしてもらわなければならないのだ。他国で足を組むなんて言語道断。
港から数十分車を走らせると見えてくるのは大きな高級ホテル。今日はここに泊めさせてもらうらしい。大使館はここから少し離れた場所。
チェックインを済ませ「ではまた明日」といなくなった外交官。部屋に盗聴器などが仕掛けられていないか入念にチェックをし、やっと一息つくことができた。
ci「はぁ〜〜、もう頭蒸れてまうわ」
『ちょっと、カーテン閉めてから取りなさいよ』
ci「あぁ、せやった」
チーノが女装を解き始める中、ひとらんがスペアキーを使って部屋に入ってきた。
ht「A、あっち何もなかったよ」
『そう、なら一安心ね』
部屋はご丁寧に男女で分けているらしく、彼だけ別の部屋だった。
『チーノ、せめて脱衣所で着替えてくれない？』
ci「別に見慣れてるやろ」
『だからって男の着替えを目の前で見る趣味はないの』
チーノはむすっとした顔で脱衣所に向かった。
ht「ねぇ、なんでチーノだったの？」
『え？』
ht「ほら、マンちゃんでも良いって言ってたじゃん」
『あぁ、単純に諜報部隊だったから隠密行動に慣れてるかなって』
ht「マンちゃんは言葉の方が強いもんね」
オスマンは髪もある程度長いし変装しやすかっただろうけど、外交官だしあまり動き回るのは良くないだろう。
そこで白羽の矢が立ったのがチーノだった。背もコネシマやトントンほど高くなく、女性と言われれば納得できる身長。それに加え、彼の顔立ちや体つきなんかが諜報部隊の中で一番女性のシルエットに近い。
ci「はい、着替えましたけど」
続く (更新停止中)
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