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gr「今日このまま問い詰めても平行線なのは変わらないだろう。また日を改めよう」
tn「俺もそれに賛成やわ」
小一時間ほど尋問を続けていたが、夜も遅かったため今日のところはここまでとなった。
寝室が近いゾムと共に薄暗い廊下を歩く。ゾムとは一週間ほど前に鍛錬場で話したっきりで、顔を見るのは久しぶりだった。
なにせその時に話していた内容が暴走した時のゾムについてだったもので、お互いに気まずいのだ。
『なんか、久しぶりだね、ゾム』
zm「あれ以来やもんな」
今日の尋問のこともあってか、いつものような明るさはなかった。
zm「そういや、左手治ったん?」
彼の綺麗なペリドットの瞳が包帯の取れた左手を捉える。
『あぁ、うん。おかげさまで。傷も残らなかったから心配しないで』
zm「そうか、」
『謝らないでね。ゾムのせいじゃないんだから』
zm「わかってるって」
そう言ってガシガシと私の頭を撫で回したかと思うと、いつの間にか彼の部屋の前に来ていてようで、彼はおやすみの挨拶をすると部屋に入っていった。
ひとり廊下に取り残され、撫でられた場所に触れる。彼は頰にキスをされるのが好きだけど、頭を撫でるのも同じくらい好きらしい。
彼がいつも以上にぐしゃぐしゃと撫でるものだから髪がボサボサになってしまった。この後はもう部屋に戻るだけだったので髪留めを取り、肩下まで伸びた髪を手櫛で整える。
******
『なんか、引っかかる』
寝支度を済ませた私はそう呟いた。あのひとらんが国を裏切ったのが信じられなかった。
何か誤解をしているんじゃないか、と思いながら月明かりが差し込んでいた窓のカーテンを閉める。なんだか今日は暗くしないと眠れない気がしたから。
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