【d!】曇り空に敬礼を【軍パロ】 (ページ20)

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だから俺は模擬戦でもあいつに傷がつかないように戦った。任務の時には俺が盾になった。

それなのに、俺はあいつに傷を負わせた。初めはAが生きていたことに安堵していた。

でも、点滴の繋がれた左の掌がぐるぐると包帯で巻かれているのを見て、俺がAに怪我を負わせていたことを思い出した。

そもそも、無茶をさせてしまったのも俺のせいだ。

sha「お前結構めんどくさいよな」
zm「こっちは真剣に、」
sha「お前が思ってるほどAは気にしてないみたいだけど？」
zm「え、」

鍛錬場の出入り口を見ていたシャオロンを見て、俺も同じように目線を移す。そこに立っていたのはAだった。

いつもまとめ上げているはずの髪は下の方で緩く結わえられ、服もタイトスカートではなくワンピースになっていた。

sha「体は？大丈夫なん」
『うん。後遺症も残ってないし、ご飯も食べたから大丈夫』

お前も何か言えよ、と目線を送られるが気まずさから脱いでいたフードを深く被る。

『ゾムも大丈夫そうね。また模擬戦でもしてたの？』
sha「…せやねん。こいつ全然元気でさぁ」

黙っている俺に変わってシャオロンがそう言った。いつの間に会話が終わっていたのか、気がつけばシャオロンが手を振って鍛錬場から出るところだった。

『それで？なんでそんなに頑固になってるわけ』
zm「別に頑固になってるわけやなくて」
『じゃあ何』

自分よりも少しばかり背の低い彼女はそう言いながら俺に詰め寄った。

zm「左手」
『え？』
zm「ごめんな、怪我させて」
『あぁ、これか、別に平気』

そうは言っても左手に巻かれた包帯には少し血が滲んでいて、「そうか」なんて言えなかった。

その左手に俺の手を重ねているとAにフードを取られる。そのまま目にかかった俺の前髪を避け、彼女は俺と目を合わせた。