【d!】曇り空に敬礼を【軍パロ】 (ページ2)

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no_side

黒のスーツを着た男がこじんまりとした可愛らしいケーキ屋にいる、というのはかなり違和感がある光景だ。

その男というのもこの国のトップ、グルッペンである。

彼は待ちに待った新作のケーキに店のロゴが彫られたフォークを刺そうとしたが、そのフォークは彼の手を離れた。

『まぁ、素敵なケーキですこと。このナッツの風味とキャラメルの香ばしさはきっとあなた好みでしょうね』

グルッペンは自分から奪ったフォークでケーキを一口食べた女に「げ、」と嫌そうな声を上げる。

gr「…なんでAがここにいる」
『そりゃあ、トントンに連れ戻せって言われたからよ』
gr「しかも俺のケーキ食いやがって」
『一口くらい良いじゃない。ほら、帰るわよ』

すぐに店を出ようとする彼女の腕をグルッペンは素早く掴む。

gr「ま、待ってくれ！せめてケーキは食わせろ！」
『持ち帰ればいいじゃない！』
gr「出来立てを食べないだなんてお前の頭はどうなっているんだ！」

そう、ケーキを持ち帰り城で食べるのなら誰も文句は言わないのだ。こうやってトントンの血管が切れそうになるのも、全てグルッペンのわがままのせいなのだが。

『トントンが爆発しないうちに帰るからね』
gr「あぁ、もちろんだ」

結局、この男には勝てないのだ。

you_side

gr「ふぅ、美味かったぞ」
『それはようござんした』

満足気なグルッペンの腕を引っ張って急いで城への道を進む。城下町の人々はこの光景に慣れているらしく、驚くこともなく挨拶をしてくる。それに対して呑気に挨拶を返すグルッペンを誰かどうにかしてほしい。

彼の自室に入ればまだ未開封の手紙や書類が机にどっさりと置かれているのが目に入った。

『仕事残ってんじゃない』
gr「すぐに終わると思ってた」
『はいはい、トントンに怒られないようにしてよ』

お騒がせな総統をやっと連れ戻し、寝室で自身のベッドに身を預ける。深く息を吐けば体はどんどん沈んでいくようだった。