【d!】曇り空に敬礼を【軍パロ】 (ページ1)

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1【錯乱と海】ページ1

tn_side

廊下でパンプスのヒールがカツカツと規則正しい音を立てる。ノックをして入ってきた彼女は相変わらず凛としていた。

『トントン』
tn「あぁ、Aか」
『これ、情報は全部まとめて置いたから』
tn「ありがとうな」

見やすい調査報告書を作ってくれる彼女はこの国では数少ないトントンの手間がかからない人間だった。

そんな彼女は部屋をぐるりと見回し呆れたような表情を見せる。

『ちょっと、みんな働かせすぎじゃない？書記官の子たち結構顔色悪いと思うんだけど』

確かにこの作業部屋にいる三、四人の書記官たちはここ数日働きづめだ。もちろん自分も例外ではない。

tn「あぁ、この前の戦争のおかげで仕上げなあかん書類が増えたからなぁ」
『ちゃんと休ませてあげてよ？もちろんトントンもね。私も何かあれば手伝うし』
tn「そんじゃあ、お言葉に甘えて一個頼んでもええか」
『ええ、どうぞ』

tn「逃げたグルさんを連れ戻してくれ」

******

you_side

『なんで私がグルッペンを連れ戻さなきゃいけないんだか…』

総統が脱走だなんて本当に信じられない。まぁ、どうせ新作のケーキが食べたくなったとか、国営図書館に新しい本が入ったとかそんなとこだろう。

書記官室を出て一度自室に戻る。護身用の拳銃を仕込み、まだ肌寒いため上からジャケットを羽織る。

そして、インカムのボタンを押せばすぐにロボロは応答してくれた。

rb「おう、Aどうしたん」
『グルッペン探してて。カメラとかに写ってない？』
rb「あぁ、城下町の南西部に行ったで。なんかあったんか？」
『また仕事放り出して逃げ出したらしくて』

そう言うとロボロは「あいつまたか」とイヤホン越しでもわかるほど呆れた声を出した。

『で、南西部だったよね』
rb「こっちなら大方ケーキ屋やと思うけど」
『ありがとう。さて、トントンが爆発する前に連れて帰らないと』
rb「気をつけてなー」