【実|況|者】サイケデリックな風景を 4【短編集】

失恋したって片想いだって/PP ページ30

片想いしてる人
斜め前のひとつ前
意外と話せない

席替えをして決まった席だった
結構ガッカリ

「おはよー」
『うん、おはよ』

それでも君は何にも気がつかないし
普通に話しかけてくるし
結構傷ついてるんですけど

「A、あれやった？」
『暗記テスト？』
「そーそー、昨日学校に教科書忘れちゃってさ」
『どんまい』

私もそういう素振りしないのが悪いんだろうけど
実はアピールしてるつもり

『ねぇ、今日電話しても良い？』
「うん、いいよー」

好きな人がいるのか、聞くだけのつもりだった

家に帰って電話して
ちょっと雑談して
好きな人はいないらしい

あー、脈なしかなぁ

「そういえばさ、Aはいないの？」
『んー、秘密』
「えー、教えてよ」
『やだ』

それの繰り返し
でも、電話できてるのが嬉しくてそのまま

「なんか、眠くなって来た」
『今日疲れたよね』
「あー、もう寝落ちしそう」

『ねぇ、目覚めること言ってあげようか』
「うん、なに？」

『好きだよ、ぴーちゃんのこと』

言う気はなかった
こんな告白するつもりなかった

「え、あ、そのありがとう」
「僕告白とか初めてで、すごい嬉しい」

「だけど、今は好きな人いないから…ごめんね」
『うん、大丈夫』

大丈夫、わかってたから

「でもさ、そのまま片想いしててくれる？」
『うん、してる』

今考えたらおかしい言葉
私フられてるのになぁ
それでも、未だに片想いしてる私は随分とめんどくさい女らしい

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