言えない言いたい言いたくない（Daiki.A Ryosuke.Y）

5 ページ5

A「大貴ーー」



大貴は私の姿を見つけると、クラスメイトの輪を抜けて私のところに来てくれた。


有岡「どした？？」


A「はいこれ。」



大貴は私が差し出したピンク色の封筒を受け取ることなくジッと見下ろす。


有岡「……」


A「隣のクラスの子が持ってきたよ。渡してくださいって。」


有岡「ふうん…」



受け取ろうとしない大貴。

私の差し出した封筒を見下ろしたあと、私をジッと見つめた。



有岡「いらね」


A「え！ちょっと！」


有岡「そういうの受け取んな、って言ってんじゃん」





大貴がそのまま席に戻ろうとするから。


私は大貴のジャケットの裾を咄嗟に掴んだ。


A「困るよ！！頼まれたものだし…」





大貴は少し考えこんでいたけれど、「わかった」と小さく呟いて、

封筒を受け取った。



受け取った瞬間、ずきんと痛む私の心臓。

ばかみたい。




有岡「サンキューな。」





大貴はそれだけ言うと、さっさと席まで戻ってしまった。

6→←4

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す