言えない言いたい言いたくない（Daiki.A Ryosuke.Y）

30 ページ30

山田「いや、葵ちゃんからAちゃんが具合悪いって聞いたからさ。心配で来ちゃった」


来ちゃった、って首を少し傾げながら微笑む山田くんがあまりにもかっこよくて。


山田「でも熱はなさそうだね」


そう言って、私のおでこと自分のおでこに手を置く山田くん。

これが現実だったと知って、急に顔が熱くなる。



山田「あれ。顔が赤くなった。熱でてきたかな？？」


A「ち、ちがうよ！！山田くんが・・・」


山田「え？？」


A「山田くんが、手、置くから・・・」



山田くんは一瞬だけ、きょとんとした顔をしてみせると。

あはは、と可愛らしく笑った。



山田「Aちゃんって、やーっぱり、面白いし、可愛い」


眉を少しだけ下げた山田くんが、優しく私に微笑むから。

胸のドキドキが止まらない。


こんなイケメンに「可愛い」なんて言われてドキドキしない女はいないよね、うん。



山田「Aちゃん、なにかあった？？」


A「え？！」



山田「・・・泣いたでしょ？？」


A「へ？！」


思わず、自分の目の下をこする。


涙は、流れてない。



山田「目が腫れてる。し、涙のあとがほっぺについてる。」


さっきまで微笑んでいた山田くんの顔が急に、寂しそうになって。


山田くんの手が、私の頰をそっと撫でた。




山田「どした？？」


そんな優しい声で言われたら・・・。



胸がギュッと掴まれたような、そんな痛みを感じた後。



私の瞳からはまた涙が流れた。

31→←29

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す