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「あ、Aー!!」
鼻にかかった、柔らかい声。
振り向くと、そこにいたのは。
A「伊野ちゃん」
伊野ちゃんは白く長い指をひらひらとさせながら、ニッコリ笑った。
ぱっちりとした大きなタレ目が、さらにタレて細くなる。
伊野尾「ごめん、これ、大ちゃんに返しておいてくれない??」
1年の時、同じクラスだった伊野尾くん。
通称、伊野ちゃん。
容姿端麗・頭脳明晰な彼だけど。
ちょっぴり運動音痴で、会話もユニーク、男女わけ隔てなく仲良くできる人だから。
親しみやすくて、クラスのみんなから慕われる人気者だった。
それはきっと今のクラスでもそんな存在のはず。
そんな伊野ちゃんが私に差し出したのは、化学の教科書だった。
A「あ。」
伊野尾「返すの遅くなっちゃった。もしかして今日化学あった??」
A「あったあった。大貴探してたよー」
伊野ちゃんは、あちゃーと可愛い顔をしてみせる。
A「大貴に渡しておくね」
伊野尾「ありがとう。あのさーA」
A「ん??」
伊野ちゃんがグイッと私の肩を抱き寄せた。
でも。
スキンシップが多い伊野ちゃんだから、こんなの慣れたもので。
伊野尾「大ちゃんと進展あった??」
A「な?!/////」
そう。
伊野ちゃんには。
私の気持ちが。
おそらくバレている。
いやきっと確実にバレている。
A「な、なんのこと?!////」
伊野ちゃんは、ケラケラ笑いながら肩を揺らした。
伊野尾「その様子じゃまだ幼馴染みの殻から抜け出せてないんだ??」
いたずらっこのように目を細めて笑う伊野ちゃん。
なんだか全てを見透かされてるみたいで。
伊野尾「まーったく。大ちゃんも何やってんだか。ぼやぼやしてるとA、他の男にとられちゃうぞー。ねーー???」
なんて。
よく分からないことを言いながら。
組んでいた肩をおろした。
伊野尾「ま。俺でよかったらいつでも相談のるからねー」
伊野ちゃんはやっぱり意味深に微笑むと。
自分の教室の方向へ歩いて行った。
取り残された私は、「なんのこっちゃ??」と呆然と伊野ちゃんの背中を見送るしかなかった。
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しぶたにまにあ(プロフ) - キャストとポジションが最高すぎます(^_^)更新待ってます! (2018年2月21日 0時) (レス) id: 9232ad4502 (このIDを非表示/違反報告)
ミスド - キュンキュンします!!最高!!更新頑張ってください!! (2018年2月20日 18時) (レス) id: 2bb8aee70b (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ(プロフ) - すごくドキドキしながら読んでます。これからも楽しみにしてます! (2018年2月18日 19時) (レス) id: 9a53dee1e8 (このIDを非表示/違反報告)
はるな(プロフ) - この作品すごく読みやすく面白くて好きです!これからも更新頑張って下さい☆ (2018年2月13日 21時) (レス) id: 44fd8f8597 (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - すごく続き気になります!更新頑張ってください! (2018年2月7日 18時) (レス) id: 8cb6705672 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひなるり | 作成日時:2018年2月4日 12時