君がいい Kento.N (ページ5)

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「長尾くんってなんであのコンビニでバイトしてるん？」

運ばれてきたハンバーグを小さくしながら私は尋ねた。

ちょうど去年の同じような時期に揃ってバイトに入った私達。

意外とふたりで話すのは初めてだった。

　

「なんでやろなー、でも家近いからかな！」

「家近いんや」

私は4等分にしたハンバーグを口に入れる。

　「あとLAWSON好きやしな！」

おんなじハンバーグを頼んだはずなのに長尾くんはハンバーグを切ったあとずっとふーふーと息を吹きかけている。

拭えない赤ちゃん感。

「コンビニなんてどこも一緒やん」

「LAWSONしか勝たんやで」

「職場への忖度入っとる」

「バレたぁ？」

んふふ、と笑ってやっとハンバーグを口に運んだ長尾くん。

熱いけどうまぁ！と満面の笑みを向けてくる。

「長尾くん見てたら弟欲しくなるわ……」

「えーっなんで！」

私の言葉にかなり不服そうに拗ねる。

笑顔だったり拗ねたり、忙しい人。

「そういえば日菜ちゃんって学校でどんな感じなん？」

「普通やな」

「普通とべつには俺が一番キライな言葉やねん！」

「そんなん知らんし……人並みに楽しんどるよ」

「てことは好きな人とかおるん！」

「どうやろうなぁ」

好きな人は学校の同級生ではなく、大吾先輩やけどね。

なんて伝えたら絶対本人に漏れそうだから余計なことは言わないでおく。