君がいい Kento.N (ページ13)

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#five. ページ13

ついにお祭り当日。

長尾くんとの待ち合わせ場所に近づくにつれ、人が多くなってきた。
太鼓の音も大きくなってくる。

雨予報だったけど、なんとか曇りで耐えたんだ。

長尾くんが『俺晴れ男やから』と豪語してたのを思い出した。

もうおるんかな……。

「あ、日菜ちゃん！」

待ち合わせ場所の近くのコンビニからちょうど出てきた長尾くんと合流。

　

「流石に、浴衣は来てへんか」なんてちょっと落ち込んだ様子の長尾くん。

「ごめん……着るか迷ったんだけどよく考えたら持ってなかったし、
　っていうか夏祭りでもないし変かなーって」

「そういう俺も着てへんけどな！」

はい！と、満面の笑みで渡されたのはコンビニで買ったであろうアイスクリーム。

「流石に寒い！」

「まだ11月やで」

「はよ受け取ってや溶ける！」と無理やり渡され貰ったはいいけど流石に寒すぎるアイスをちびちびと食べながら屋台の方へと移動する。

　

「この祭り来るのいつぶりやろ」

人で賑わう屋台を一つ一つ目に焼き付けながら呟いた。

「俺去年友達と来たで、金魚三匹すくってん」

「え、やりたい！」

私が唐突にそう言うのにも、ええよ～！って連れて行ってくれる。

結局全然取れへんくて長尾くんが取った黒い金魚を一匹貰っただけやったけど。

誰かとお祭りではしゃぐのが久しぶりで私のテンションは上がるばかりだった。