君だけだから。 (ページ24)

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私「 ………っ、」

勝「黙ってるって何？していいの？」

見たことない勝利の豹変具合に
怖くて怖くて、
なんかもう、言葉すら出なくて

もう、どうにでもなれ、なんて
投げやりな気持ちになってきた

勝「無視？」

私「 ……」

？「 ……あの、」

そんな緊迫した空気の中、
知らんハーフの男の子が申し訳なさそうに
こっちに歩いてきた。

死角になってて廊下のほうは見えなかったけど
もしかして、ずっと、聞かれてた…？

声をかけられた瞬間、勝利はビクッと体を揺らし
わたしとの距離を開けた。

私「えーっと…」

？「あ、ボク屋上にラケット、忘れちゃって」

私「…あ、ごめんなさい！通れなかったですよね」

サッと退くと男の子はニコッと笑った

？「なんかお取り込み中に失礼しました、」

私「いやいや、こっちこそ気づかなくてごめんなさい」

？「でも、これでよかったかも」

私「……え？」

？「君、泣いてるから」

男の子に言われて自分の頬に触れると、
知らないうちに涙が溢れてた。

あ、私泣いてる、、

私「あっあれ…？」

誰かにこの状況を助けて欲しかった心の叫びと
あの怖い勝利から逃れられた安心感で

さらに涙が止まらなくなった。

私「っ…、……く、」

？「ええ！ごめん、ごめんね？大丈夫？」

私「違うの、ありがとう、嬉しくって、」

気づいたら勝利はいなくなってて、
わたしはこれをきっかけに

隣のクラスのマリウスくんと友達になった。