お姫様と王子様°Nozomu°

姫と王子 29 ページ29

次の日









私は珍しく寝れなかった。





それは、小瀧のせい。









鏡の前に立つ。









「うーわ、酷い顔。」









昨日は家に帰ってくると、また殴られて、朝起きたらもういない。









結局、あの人はなにをしたいの？









私をおもちゃにしてるの？









私はおもちゃじゃない。






人間だ。









そんなこともわからないとか、ホントばか。









「昔のお母さんはどこ行ったの…。」









あの人は、本当のお母さんじゃない。






ホントのお母さんは、私が6歳の時に亡くなった。









6歳から、私の人生はめちゃくちゃになったんだ。









学校ではいじめられて、家に帰っても暴言、暴力。








昔から、私は1人だったんだ。









今更、孤独感に覆われて、怖くなった。









手が震える。









もう、あの頃みたいにはなりたくない。









私は、家を急いで出た。









こんな家にいると、吐き気がして、昔のことを思い出してしまう。









ドンっ。









誰かにぶつかった。









小瀧「いった〜。って(人1)やん。」





「こ、たき…。」









会いたいようで、会いたくなかった人。









小瀧「どしたんや？」









そう言って顔を覗かせる小瀧。









「ちかい！」





小瀧「痛いわ、あほ笑」









頭を叩くと痛いと言って笑った小瀧。







その笑顔は、なにもかも忘れさせてくれる。

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