名も知らぬあの子 .。 (ページ18)

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ひかり s i d e ページ18

うちは、ライブが終わった後せーちゃんを駅まで送った。
駅で、せーちゃんと別れた後、余韻に浸りたくて、もう1度EXシアターに戻った。

まさか、安井くんが居たりして..
んなわけないか。

でも、後ろ姿がすごく安井くんそっくりな人が居て、思わず声をかけてしまった。

ひ「やすい..くん？」

すると、その人は振り返った。
人違いなら、すぐ走って逃げようと思ったけど、その振り返った人は、安井くん本人だった。

もう1度声をかけて、ファンだと伝えるともちろん、"ありがとう"って返ってくる。
他の子にも言ってるであろう、その言葉が。

そして、良かったら名前呼んでほしいだなんて
お願いをしてみたけど、言った後自分でもバカだなって思った。

でも、安井くんからの答えは"お名前は？"だった。
その時点で涙が出そうになったけど、名前を呼ばれたらもうダメだった。
安井くんの前で泣くなんて、最悪だ。

涙で視界が霞んでいたのに、はっきりと見えた。
安井くんの服が、顔が、首元が目の前にあった。
訳が分からなくて、目を泳がせる。
安井くんが離れ、"ごめん"と謝る。

それでも、安井くんの顔が見れず、目を泳がせていた。

すると、安井くんは自分の携帯を取り出しながら"一緒に写真を撮ろう？"と提案してきた。

もちろん。
もちろん嬉しいんだけど。
嬉しいんだけど、安井くんと写真撮れるなんて
夢じゃないかって思って、ほっぺたをつねってみた。

謙「あはは、ひかりちゃんって面白いね～」

と、くすくす笑う安井くん。
近くで見ると、いつもの倍以上にかわいい。

ひ「だって..」

謙「夢かと思っちゃった？」

ひ「そりゃそうですよ..」

謙「夢なわけないじゃん♪
オレとひかりちゃんが今日、ガムシャラ
で会えた事が夢じゃないんだから。」

ひ「安井くん..」

他の子にも、こう言ってるんだと思うと胸が苦しかったけど、それでも嬉しかった。

そして、安井くんと写真を撮った。

謙「これ、他の子には内緒ね？
Twitterとかにも載せないでね。
基本、ファンの子と撮っちゃダメって言
われてるからさ。」

ひ「分かってます。
うちだけの宝物にしますから。」

謙「ありがと。
じゃあ、後で写真送るからさ、連絡先と
か教えてよ！」

ひ「でも..」

謙「秘密にしてくれるなら、ひかりちゃんを
信じる。」

ひ「..分かりました。」

罪悪感がありつつも、連絡先を教えた。