名も知らぬあの子 .。 (ページ17)

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謙太郎 s i d e ページ17

オレは、EXシアターを出てからダッシュした。
人生でこれほどまでに走った事無いくらい全速力で。

必死であの子を探した。
あの子の特徴は、しっかり覚えている。
でも、人混みで頭しか見えず、あのサングラスを目印にするしか無かった。

テレ朝の方を探してみたけど、それらしき人は居なかった。
色んな所を探し回ったけど、見つからなかった。
諦めて、EXシアターに荷物を取りに行こうと、
来た道を帰ろうとした瞬間だった。

？「やすい..くん？」

可愛らしい声が聞こえて来て、反射的に振り返ると、さっきの女の子が立っていた。

？「安井くん..ですよね？」

謙「っはい..！」

？「うち..安井くんのファンなんです！」

謙「..そうなんですか？
ありがとうございます！」

？「良かったら..名前呼んでもらえません
か？」

謙「えっ..」

思ってもみないサプライズだった。
どうしよう。
緊張して来た。

謙「お名前は..？」

？「ひかり..です..」

その子は、顔を赤くしてうつむいた。
やばい..可愛い..

謙「ひかり、ちゃん。
今日来てくれてありがとね？」

ひ「やすい..くん..」

その子は、泣き始めてしまった。
ひかりちゃんの涙を見たくなくて、気付けばオレは、ひかりちゃんを抱きしめていた。

謙「あ..ごめん！」

我に返ったオレは、ひかりちゃんから離れた。
ひかりちゃんは、状況が把握出来ないらしく、
目を泳がせていた。

謙「びっくりさせて、ごめんね？
良かったらさ..」

そう言いながら、オレは携帯を取り出す。

謙「お詫びと言っちゃあれだけど..
オレと写真撮ろう？」

..自分でも何言ってんだろうと思った。