名も知らぬあの子 .。 (ページ13)

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謙太郎 s i d e ページ13

遂にライブが始まり、オレが1番初めに出る段取りになっていた。

謙「今日は来てくれて、ありがとー！
最後まで楽しんでいきましょーっ！」

そう言って、ステージへ飛び出し、ステージ上の階段を降りていく。

降りていった先に、オレは衝撃を受けた。
スタンディングの1番前の列、オレの目の前に
初めて見るファンの子が居た。

それだけなら、衝撃は受けないんだけど。
衝撃を受けたのは、その子自体にだった。

綺麗な黒髪をショートにしてて、オレの名前を貼ったサングラスを頭に乗せて..
今の子はあんまり居ないけど、オレは好みの
少し顔の丸い女の子。
見た感じだと、まだ中学生か。

でも、すっごくタイプだった。
可愛かった。
オレのファンの子は、みーんな痩せていて顔が小さい子が多い。
きっと、ご飯食べる量も少ないんだろうなぁって思う。

だから、この子を見た時に"運命かもしれない"なんて思ってしまったんだ。

気付いたら、オレは泣いていたその子の手を握って、頭を撫でていた。
その子は、頭が混乱したみたいだけど、オレは別のファンの子の所へ行った。

..オレは、アイドル。
夢売るのが仕事。
ファンの子に手出しちゃ、ダメだ。

そう言い聞かせて、その場を乗り切った。