名も知らぬあの子 .。 (ページ12)

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ひかり s i d e ページ12

遂にライブが始まった。
照明が落ちただけで、みんなキャーキャー言ってたし、うちも言っていた。

その後、大好きなあの人の声が聞こえた。

謙「今日は来てくれて、ありがとー！
最後まで楽しんでいきましょーっ！」

その声と共に、彼がステージの上にある階段を降りてくる。
その姿を見ただけで、涙が溢れてきた。

うちのチケット番号は、結構早かったから早く入れて、幸いにも安井くんの目の前だった。

そして、神様が舞い降りた。

安井くんが、うちの目の前に来て、しゃがんだのだった。
うちは、訳が分からなくてとにかく、泣きながら手を振った。

すると、安井くんはうちの伸ばした手を握って
頭を優しくポンポンしてくれた。

こんな事、夢の中と妄想でしか叶った事が無かったから、頭が混乱した。
でも、手の中に安井くんの温かさが残っていたから、現実なんだなって思えた。

そこから、安井くんはうち以外の子にもファンサをあげていた。
少し胸が痛かったけど、さっきの事を思い出したら、嬉しかった。

..そして、幸せな時間というのは、本当にあっという間で。
うちが聞きたくないと思っていた言葉を、安井くんが言う。

謙「みんな、そろそろお別れの時間です。
ラスト、盛り上がれますか！？」

うちは、素直に返事出来なかった。
安井くんともっと一緒に居たかった。
もっと安井くんを見てたかった。
そう思うと、また涙が溢れた。

北「ちょ、安井くんファンの子泣いてるじゃ
んよー笑」

大「安井ー、何とかしてあげろよー」

うちのせいだ..
うちのせいで、安井くんを困らせてる..

謙「悲しませて、ごめんね？
またオレたちと会う機会、絶対作るか
ら！
その時にまた会おっ？」

その言葉は、私だけに向けてでは無かったし、
ファンの子みんなに向けてだったけど、嬉しくて涙が止まった。

やっぱり..安井くんが大好き。