25日目 ページ10
今回と次回のお話だいぶお口が悪いです
‐
モテる人ってのは大変だな。
顔も名前も知らない相手から
好意を寄せられたり…いや、そこは良いか。
例えば囲まれたり、連絡先を聞かれたり、ご飯に誘われたり
隙あらば接触しようとされて、ボディタッチとかされる。
もし仮に自分が…と想像してみれば、簡単にブチッとキレてしまいそうな未来しか見えない。
だって下手すると
_「ごちゃごちゃ言ってないで寄越しなさいよ!!」
こういった輩からも好意を寄せられるのだから。
狭い通路に甲高い声は良く響く、なんならペットボトルが床で跳ねた音まで漏らさず響いた。
ぐっしょりと濡れた髪が、視界を遮るように垂れ下がっては束になった毛先からぼたぼた水が滴る。
咄嗟に構えた手や腕に水滴が奔る、水をモロに被った服は徐々に水を吸い込んでは重さを増して、肌へと張り付いていくのがすごく不快。
何より不快なのは
ふーっふーっと鼻息荒く、そこそこな顔面を自ら残念にしつつ、睨めつけてくる女だが。
「ハッ、いい気味ね
とっとと梅原くんのLINE教えないからそんなことになるのよ」
『はぁー…だから持ってないって言ってるでしょう』
「まだ言うつもり?白々しい」
ハッと鼻で笑って、視線を寄越してくる女
何回説明してもあの通り。
彼女の頭の中では愉快なシナリオが出来上がっていて
どーやら私は恋路を邪魔する”悪役”の立ち位置らしい。
シンプルに怠い。
なぜギャラも発生しない舞台に立たなきゃならんのか。
我一応プロの声の役者ぞ??
…あー、やだやだ。同じ人間で日本人なのに話が通じないなんて
「なんですって?」
あ、声に出てた?ウケますわー
ギンッとより一層眼光鋭く睨んでくるトンデモネー形相の女をそのままに
水を含んでだらりと視界を遮るように垂れ下がる前髪を撫でつける。
『あー…で?終わった?』
「は?」
『いやだから、気ィ済んだかって聞いてんだけど
朝っぱらからアンタのヒスに付き合って、きったねー唾混じりの水ぶっかけられたまんま一日過ごす趣味ねーのよ』
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