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【Tukasa‐side】
『なんだろうねぇ』
「なんだろうねぇー」
ゆるーく言葉を交わしつつ紀章さんと2人仲良く事務所へと。
朝から幾度となく繰り返したやり取りは、段々主語が抜けてって述語だけのやり取りになってしまった
「まーでも”今すぐ来い”じゃないから
悪いことでは無いんだろうけど」
『だとしても2人で来いって珍しいよね』
「ねー、でもあれか1年だか2年前に一回あったよね」
『…あ、みこちゃんと森さんの結婚報告のやつだ』
「そーそー
今日みたいに呼ばれて、会議室かなんか通されて
”結婚しました!”つってさ、びっくりどころじゃないっての」
『2人で質問しまくって』
「最終的に森ちゃんが”しつけぇ”って一蹴された」
あったあった、と顔見合わせてはくすくす笑う。
「ね、ね。司ちゃん」
『?なぁに』
自然となった恋人繋ぎ。
絡められた彼の無骨な指の腹が私の指をなぞり、小さく引かれる。
どうしたの?と見上げれば指でちょいちょいと近付くように指示される。誰かの邪魔になってたかと視線を動かして見るも誰も居ない。
「あーうん、そうじゃなくて」
腕を引かれて、バランスを崩しつつも彼の胸板へと飛び込む形に。
そして、しっかり抱き止められて、すらりとした指が顎が攫られた。
「こっち」
ちゅっ、とリップ音。
真ん前にあるのは彼の顔。ふわりと香水が香る。
そして、唇に触れるちょっとだけカサついた唇の感触。
『ちょっ!こっ…!!』
「事務所だねぇー」
『な、なならっ』
「したくなっちゃったから?」
ぎゅうぎゅう抱き締めてくる両腕の中で抵抗してみるも
あー!くっそ!!びくともしねぇ!!!
『誰かに見られたらどーすんのさっっ!』
「大丈夫大丈夫、誰も居ないからー」
抜け出すのは諦めて、抗議の意を込めてべしべし叩いてみるも”ごめんねー”なんて緩く返される。だと言うのに両腕の力は緩まない。
「…なに、廊下の真ん中でイチャついてんですか」
「あっ森ちゃん」
『ーーーーーーっ!!!!?!??』
(※声にならない悲鳴)
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